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国内デジタルツイン関連市場、2028年には1兆5000億円規模に~IDC Japan調査
2024年11月12日 13:56
IDC Japan株式会社は11日、国内デジタルツイン関連市場の予測を発表した。同市場の予測は今回が初となる。
IDCでは「デジタルツイン関連市場」を、現実空間の事象、プロセス、モノや人の形状、状態変化、動き(動作、移動)に関するデータを、複数のデータソースからデータ基盤に集約し、サイバー空間上で可視化、分析、制御、最適化、予測およびサービスの提供などを行う幅広い市場として定義している。
国内デジタルツイン関連市場全体の市場規模は、2023年の7329億円から年間平均成長率16.4%で成長し、2028年には1兆5674億円になると予測する。市場の主な成長要因は、データやシミュレーションに基づく意思決定に対するニーズの増加、現実空間で起きていることの把握や、分析/制御に資するデジタル技術の高度化と成熟などが挙げられるとしている。
デジタルツインのユースケースは多様だが、主流はCAD、CAE(Computer Aided Engineering)、PLM(Product Lifecycle Management)、IoTなどデジタルツール活用の延長線上にあり、デジタルツイン関連市場の大部分はこれらの既存市場と重複する市場だと説明。
近年のデジタルツインへの関心の高まりの背景には、コンピューター上での設計開発のさらなる高度化に加えて、設計開発プロセスで活用したデータをOT領域へと引き継ぎ、AIやロボットなどと組み合わせることで、生産や社会インフラのためのシステム運用をより高度化していこうという機運の高まりがあると指摘する。
さらに、サプライチェーン、スマートシティにおける構想や防災、GHG(Green House Gas)排出量、ヘルスケアにおける患者の身体や健康、物理空間と連携した仮想空間での諸活動(販売、エンターテインメント)など、新たな領域でのデジタルツインへの取り組みも始まっているとしている。
IDC Japan株式会社 Software & Servicesリサーチマネージャーの小野陽子氏は、「デジタルツインは高度化の途上にある。ベンダーは、表現、シミュレーション、最適化といった手法の研究開発に投資すべき領域である。IoTで取得した現実空間のデータによる機械学習やCAEで活用される物理シミュレーションなど複数の手法をハイブリッドに組み合わせることでより精緻な分析や予測が可能になるケースが多い」と述べている。