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富士通、プライベート環境で使用可能な企業向け大規模言語モデル「Takane」を提供

 富士通株式会社は30日、カナダのCohereと共同開発した、プライベート環境で使用可能な企業向け大規模言語モデル(以下、LLM)「Takane」を、AIサービス「Fujitsu Kozuchi(Generative AI)」に組み込み、「Fujitsu Data Intelligence PaaS(以下、DI PaaS)」を通じてグローバルに提供開始した。

 Takaneは、CohereのLLM「Command R+」をベースに、富士通が日本語特化LLMの開発で培った知見と、Cohereの業務特化型LLMの開発ノウハウを組み合わせて開発した、グローバルで富士通が独占的に提供できるモデル。

 日本語強化のための追加学習とファインチューニングを行い、日本語言語理解ベンチマークのJGLUEで、自然言語推論のベンチマークであるJNLI、機械読解タスクのベンチマークであるJSQuAD、Nejumi LLMリーダーボード3においては、意味理解、構文解析において他社を凌駕する性能を達成している。また、Command R+の多言語対応(10言語に対応)や、ビジネスプロセスを自動化する機能を継承している。

 また、Takaneはセキュアなプライベート環境で利用可能なLLMとなっている。このため、事務作業や問い合わせ対応、各種審査業務において顧客の個人情報を扱う金融業界、設計や開発など秘匿性の高いデータを扱う製造業、機密性の高いデータを扱う安全保障分野など、データ漏えいの懸念からLLMの導入が難しい業務でも安心して活用できるとしている。

 企業独自のデータを用いてファインチューニングやカスタマイズを行い、顧客の業務に特化したLLMに高度化もできる。Cohereが有するRAG技術と、富士通の大規模な文章の参照を可能にする「ナレッジグラフ拡張RAG」や、法規制や企業ルールに準拠した出力が可能な「生成AI監査技術」により、法規制および業界・企業のルールへの準拠が容易になる。これにより、専門用語が多く頻繁に法規制が改正される金融業界などでも、Takaneを安心して活用できるようになる。

 さらに、Takaneを「Fujitsu Uvance」のオファリングであるDI PaaSを通じて提供することで、データとAIを融合した業務アプリケーションを創出する。DI PaaSは、組織内外に散在する膨大なデータを意味の理解できる形に統合し、部門や業種間で分断されたデータを連携、分析し、これまでにない知見や解決策を導き出し、組織や企業間のデータ利活用を活性化させるクラウドベースのオールインワンオペレーションプラットフォーム。富士通は、データとAIの融合により、圧倒的な生産性と創造性を実現し、顧客のビジネス変革を支援していくとしている。

「Takane」の提供スキーム