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デロイト トーマツ、LLMを連携させ業務を自動化する「マルチエージェントアプリ」を開発

 デロイト トーマツは25日、業務目的に応じて大規模言語モデル(LLM)が必要なツールを使い分けて、処理を自動で実行するAIエージェントの実装を推進しており、その機能強化のために、多様なAIエージェントが自律的に連携する「マルチエージェントアプリ」を開発したと発表した。

 デロイト トーマツでは、現在、業務の効率化を目的に、LLMが組み込まれたチャット型アプリケーションが多くの企業で利用されているが、対象となる業務が複雑になると、「さまざまなプロンプト技術を理解する必要がある」「AIとの会話を何ターンも繰り返す必要がある」「AIの誤りを細かくチェックする必要がある」などの課題が生じ、複雑な業務への適用の障壁となっていると説明。

 こうした問題の解決策として、特定の役割やツールを持たせたAIエージェントを複数組み合わせることで、AIエージェント同士が自律的に連携しながら業務目的の達成に向かって処理を実行する「マルチエージェント」技術が注目されており、ユーザーが逐次細かい指示やチェックをせずとも、一定の成果物を出力できるという。

 ただし、マルチエージェントにはその安定性や柔軟性において技術課題が存在しており、具体的には、適切なツールの選択ミス、生成された回答の不正確さ、AIエージェント間の連携ミスなどが挙げられる。デロイト トーマツでは、これらの課題への対応として「マルチエージェントアプリ」を開発し、複数のAIエージェントでプロジェクト体制を模した関係性を構成し、AIエージェント間をグラフ構造で連携させるなどの工夫により、安定的かつ柔軟な業務の自動実行を実現した。

 マルチエージェントアプリでは、多様なAIエージェントの連携、タスク計画の自動立案、グラフ構造による連携制御、自己修正、Human in the Loopといった技術を活用し、ユーザーからの業務要求に基づくタスクを自動的に実行する。

 多様なAIエージェントの連携は、Web情報検索、社内DB検索、プログラミングによるデータの可視化、情報全体を取りまとめた分析、資料作成など、それぞれの役割を持ったエージェントを連携させる。

 タスク計画の自動立案は、タスク計画用のエージェントが他のエージェントの役割を理解し、ユーザーからの業務要求を実現させるために、どのエージェントに何を実行させるべきかを自動で計画する。

 グラフ構造による連携制御は、エージェント間で適切に処理を連携できるよう、グラフ構造により、エージェント間の連携可否や連携の方向性を定義する。

 自己修正は、レビュー用のエージェントを設けて他のエージェントの実行結果をチェックさせ、誤りや不十分な点があった場合に、レビュー用エージェントからの指摘に基づき自動的に処理を再実行し、出力を改善する。

 Human in the Loopは、AIエージェント側から人に対してチェックポイントを設け、人による指摘や承認を踏まえて処理を継続させる。

 ユーザーは、操作画面で業務内容を自然言語で入力するだけで、マルチエージェントアプリが内容を理解し、関連するAIエージェントを連携させ、実行結果を出力する。また、操作画面上では、エージェントの追加や、エージェントに使用させるツール、LLMの設定も行える。

マルチエージェントアプリ実行中の様子

 デロイト トーマツでは、生成AI領域においては、全社横断のタスクフォースを組成し、生成AI技術の研究・開発、各プロジェクトへの展開、各プロジェクトからのノウハウの集約・モジュール化を一気通貫で行っており、今回のマルチエージェントアプリもその活動の一環として開発したと説明。他にも、「多機能RAGアプリ」や「AIアバター」「特化型LLM」など先進技術の開発・研究に取り組んでおり、ビジネスへの効果的な生成AI技術の適用を通じて、クライアントのDX化の加速を支援していくとしている。