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日本IBM、SalesforceとArcGISを統合したプラットフォームで東北電力ネットワークのDXを支援

配電フィールド業務を効率化

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は19日、東北電力ネットワーク株式会社の配電設備維持管理におけるフィールド業務において、顧客管理ツール「Salesforce」および地理情報管理ツール「ArcGIS」を統合したプラットフォームを活用し、DXを実現したと発表した。同プラットフォームは今回、樹木の伐採管理に利用されている。

 東北電力ネットワークでは、近年の激甚化する自然災害、また人口減少の加速といった課題への対応のため、AIやIoT等のデジタル技術を活用した設備形成の合理化や保守点検技術の高度化による、事業運営コストの低減が求められていたという。

 同社の業務の中では、倒木による停電を未然に防ぐための、配電線や電柱の周囲に生える樹木の伐採管理も重要な業務であるが、年間数万件もの工事を実施する一方で、紙の地図・書類を中心とした業務であったため、情報の検索や書類作成に多大な労力を要する点が課題だったとのこと。

 そこで日本IBMでは、2023年2月より東北電力ネットワークと検討を重ね、Salesforceで情報を管理するとともに、それらをArcGISで可視化する、伐採管理業務の統合プラットフォームを開発した。同プラットフォームは、2024年2月からの試行利用を踏まえた改良を経て、2024年5月より東北電力ネットワークの配電部の社員500名が、本格利用を開始している。

 東北電力ネットワークは、このプラットフォームの導入により、モバイル端末による現地での伐採対象エリアにひも付く樹木所有者の検索において、75%の業務効率化を見込む。

 あわせて、伐採履歴に基づく樹木単位の成長予測と中長期の年間伐採量の自動算出といったダッシュボード機能により、戦略的な伐採計画立案や、モバイル端末での情報検索・確認による現地で完結する業務の拡大、地権者交渉の円滑化などの業務高度化を推進していくとのことだ。

 なお同社は今後、同プラットフォームの適用範囲をフィールド業務全般に拡大し、基幹システムと連携することで、業務の高度化と効率化、従業員体験の向上を図り、さらなるDXを推進するとしている。

統合プラットフォーム画面