ニュース

Wasabi、バックアップやファイルサーバー移行などの注力分野に向けソリューション展開を推進

 クラウドストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」を提供するWasabi Technologies Japan合同会社(以下、Wasabi)は12日、日本法人設立から3年を迎えたことを受け事業戦略説明会を開催した。

 Wasabiは米国ボストンを拠点とし、クラウドストレージを低価格、予測可能かつセキュアに提供することで、世界中のデータを保存することをミッションとしている。Wasabi 取締役社長の脇本亜紀氏は、グローバルの事業概況について、「Wasabiは、世界100か国以上でビジネスを展開しており、グローバルでの顧客数は8万社以上、パートナー数は1万5000社を超えている。売上高も対前年比で60%以上と急成長を続けている。また、全世界に14のストレージリージョンを有しており、当社が管理しているストレージ容量は数エクサバイトに達している」と説明した。

Wasabi Technologies Japan 取締役社長の脇本亜紀氏

 同社が提供する「Wasabi Hot Cloud Storage」は、低価格・高性能・セキュアなクラウド型オブジェクトストレージサービスとなっている。利用料は、ハイパースケーラーと比較して80%以下を実現しており、下り転送やAPIリクエストの料金が発生しないのが大きな特徴。性能面では、高速ファイルシステムによって、競合他社よりも迅速なアップロード/ダウンロードが可能。安全性についても、冗長化されたデータセンターで、99.9%の可用性および99.999999999%(11×9)のデータ耐久性を備えているほか、イミュータブル(不変)機能によりランサムウェア対策にも活用できるという。

 ユースケースとしては、基本となるバックアップ&リカバリー(サイバーレジリエンス)用途をベースとして、アクティブアーカイブ、クラウドティアリング、協働ワークフロー、さらにはAI活用まで広がってきている。

 「特に、最近伸びているのが、オンプレミスストレージの拡張先としてクラウドストレージを利用するクラウドティアリング。当社では、Windows Serverのストレージ領域をクラウドに拡張するソフトウェア『Wasabi Cloud NAS』を提供している。Windowsに、同ソフトのクライアントツールをインストールするだけでエクスプローラからそのままクラウドストレージにアクセス可能となる。これにより、日本企業に約40万台導入されているWindowsファイルサーバーを効率的に管理し、運用コストを低減できる。また、“野良NAS対策”にも効果を発揮する」としている。

「Wasabi Hot Cloud Storage」のユースケース

 こうした背景を踏まえて、今後の日本市場における注力分野として「バックアップ」「ファイルサーバーのクラウド化」「監視カメラ」「医用画像」「大学・研究機関」「メディア」の5つを挙げた。そして、注力分野に向けた拡販を強化するため、8月には新たにSB C&Sとディストリビューター契約を締結している。SB C&Sを通じて、日本企業へのバックアップ提案および、Windows Serverへのアタッチ率向上を図るとともに、幅広いミッドマーケットのカバレッジ確保を狙う。

日本における注力分野

 「現在、日本におけるパートナー企業は200社を超えているが、SB C&Sなど3社のディストリビューターを経由して、今後もソリューションパートナーとリセラーの数をさらに増やしていく。また、テクノロジーアライアンスパートナーとの取り組みでは、『バックアップ&リカバリー』『アーカイブ』『監視カメラ』『メディア&エンターテインメント』など用途に特化したソリューション展開も推進していく」という。

 直近のソリューション展開としては、パナソニックの映像監視システム「ArgosView」と「Wasabi Hot Cloud Storage」を組み合わせ、1年以上の長期間録画を実現した映像監視ソリューションを8月から提供開始している。このほか、スポーツ、メディアおよびエンターテインメント業界向けに展開している、AIを活用したインテリジェントメディアストレージ「Wasabi AiR」についても紹介。「Wasabi AiR」では、「Wasabi Hot Cloud Storage」に、高度なAIメタデータ自動タグ付け機能と、検索可能な多言語音声文字変換機能を組み合わせている。

「ArgosView」と「Wasabi Hot Cloud Storage」を組み合わせた映像監視ソリューション

 最後に、日本での「Wasabi Hot Cloud Storage」の代表的なユースケースとして、公的医療機関の春日井市民病院、宅配収納サービスのサマリー、情報通信サービスのインフィニットジャパン、映像制作業のカラーの導入事例を紹介した。この中で、カラーの導入事例については、同日に発表された最新情報となる。

カラーの導入事例

 「エヴァンゲリオン」シリーズの製作会社で知られるカラーでは、作品資産を守り抜くために、クラウドストレージプロバイダーとしてWasabiを選定し、ストレージの運用と500TBのアーカイブデータをオンプレミスからクラウドに移行した。Wasabiが提供する低コスト、高性能なクラウドストレージによって、運用管理コストの80%減を見込んでいるという。