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ノーチラス、次世代型国産RDB「劔」のGA版を提供 企業向けサポートサービスの提供も

 株式会社ノーチラス・テクノロジーズ(以下、ノーチラス)は2日、世界最速レベルの性能を持つというリレーショナルデータベース「劔“Tsurugi”」(以下、劔)のGA(General Availability)版を公開したと発表した。同時に、劔の企業向けサポートサービスを提供開始する。

 劔は、NEDOの「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」(以下、委託事業)において開発されたデータベース。メニーコアや大容量メモリなど、次世代のデータベースに用いられるハードウェア環境に適合したシステムとなっているため、ハードウェアの性能が向上すればするほど、システムの性能も高まる特性を持つという。

 同データベースは、2023年10月にオープンソースソフトウェア(OSS)として一般公開され、これまでβ版としてアップデートを続けてきてきたが、今回、GA版として正式なサポートバージョンが公開され、シングルノードのシステムへの本番運用を可能にしたとのこと。

 今回はこれを受けて、企業向けサポートサービス(年間200万円から)の提供も開始する。サービスでは、個別の問い合わせ窓口を設け、劔で開発や運用を行う際のシステムの設計段階からの問い合わせを受け付けるとした。

 メニューとしては、スタンダード・サポートとエンタープライズ・サポートの2種類を用意。OSSでは提供していない、劔の運用・管理をサポートするツールとして、劔の稼働状態を確認する「Altimeter」と、劔の管理をサポートするBelayerのUIである「Belayer UI」を提供する。

 なおスタンダード・サポートは、劔の開発を始める人や、小規模なシステムでの利用を行う場合などを想定としたもので、1サーバーあたり32コアまでの環境を対象としており、問い合わせに対して製品仕様に即した回答を行う。Altimeter/ Belayer UIについては、製品の提供のみを実施するとのこと。

 一方のエンタープライズ・サポートは、劔を利用した本番運用を見据え、開発・運用を実施する企業での利用を想定したプランで、1サーバーあたりのコア数制限はなく、問い合わせに対してシステムの業務仕様を考慮した回答を行う。例えば、設計時におけるアーキテクチャレビューやデータモデルレビュー、実装時におけるコードレビューやサンプルコードの提示までをサポートするほか、障害時には、暫定のパッチ提供や再現環境における検証などを実施するという。またAltimeter/Belayer UIについては、運用・管理の構築支援も実施する。

 また、サポートサービスの対象とならないような、アーキテクチャ設計・モデル設計、PoC・サンプル実装、運用設計・環境構築支援、性能検証・性能改善(付随する実装)などについては、プロフェッショナルサービスとして個別に対応するとしている。

 ノーチラスでは現在も、NEDOの委託事業において研究開発を続けており、データベースとしての安定性や機能の充実(利用可能なSQLの拡張、パフォーマンスの維持・向上)、高可用性の確保(マルチノード対応・マルチデータセンター対応)などを目指しているとのこと。2024年度中には、サポートSQLの拡張、可用性の拡張(ラック内での一貫性の確保)、対応プラットフォームの拡張(Linux系OSの対応プラットフォームの拡張)といった強化を予定している。