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富士通、フェイクニュースなど偽情報対策システムの研究開発に着手、「経済安全保障重要技術育成プログラム」に採択

 富士通株式会社は19日、内閣府や経済産業省、その他の関係府省が、経済安全保障を強化・推進するため連携し創設した「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称:K Program)」のもと、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した「偽情報分析に係る技術の開発」に実施予定先として採択され、偽情報の検知・評価・システム化に関する研究開発に着手すると発表した。事業の規模は60億円で、期間は2024年から2027年までの予定。

 開発する偽情報対策システムは、SNS投稿などの情報の真偽を判定するにあたり、その情報に含まれる文章、画像、音声、動画が生成AIなどによって作られていないかといった作為性の判定を行うとともに、対象とする情報に付加される発信者(人や組織とその属性)、位置、日時などさまざまな根拠の関係性を繋ぎ合わせた「エンドースメントグラフ」により、これらの整合性や矛盾を分析することで真偽の判定を支援するほか、社会的な影響度を評価する。

 事業では、民需・官需向けのユースケースに合わせてそれぞれ要件定義を行い、これを元に、「メディアごとの情報分析と偽情報検知」「根拠、エンドースメント管理」「総合真偽判定支援」「偽情報影響度評価」の技術を組み合わせ、偽情報対策システムを構築する。

 メディアごとの情報分析と偽情報検知では、SNSの投稿内容などから文章、画像、映像、音声メディアをメディアごとに分解して抽出し、内容を分析し、その結果を根拠として利用するとともに、作為性の判定を行う技術を開発する。

 根拠、エンドースメント管理では、抽出したインターネットの情報に対するさまざまな根拠を、グラフ構造化して管理するシステムを構築する。

 総合真偽判定支援では、大規模言語モデル(LLM)により情報にひも付けられた根拠の整合性や矛盾を分析し、情報の真偽の判定を支援する技術を開発する。

 偽情報影響度評価では、偽情報の特徴を分析し、拡散規模や社会的な影響度を評価する技術を開発する。

 富士通では今後、同事業の開発技術を統合・システム化することで、一層の拡大が懸念される偽情報に対して、安定的で自律的な経済活動を維持するための偽情報対策の社会基盤を整備すると説明。これにより、富士通はNEDOを通じて、事業の成果を新産業創出および国際競争力強化につなげ、日本の不可欠性の確保、優位性の向上に貢献するとしている。