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日本企業のDX、取り組み割合は米国並みに増加も成果創出割合では及ばず~IPA調査「DX動向2024」

 独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)は27日、戦略・技術・人材の視点から、日本企業におけるDXの取り組みとその成果、技術利活用、人材育成などについて調査した結果をまとめた「DX動向2024」を公開した。

 IPAでは、日本企業のDXに関する状況や課題などについて調査し、その結果を関連する技術解説などを加えて取りまとめた「DX白書」を2021年と2023年に公表した。日本企業のDXへの取り組みが進む中、調査データにも鮮度やスピードが求められるとして、IPAではDX白書から引き継いだ調査を2024年2月~5月に実施し、「DX動向2024」として公表した。

 調査では、日本企業のDXの取り組みは順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあると分析。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしている。

 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析している。

DXの取組状況(経年変化および米国との比較)

 DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加している。一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしている。

DXの成果状況(経年変化および米国との比較)

 DXの取り組み項目別成果の状況を、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階の観点で見ると、2022年度調査の傾向から大きな変化は見られなかった。「アナログ・物理データのデジタル化」や「業務の効率化による生産性の向上」のように、比較的取り組みやすく、成果も出やすい取り組み項目がある一方で、「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」のように、デジタルトランスフォーメーションの取り組みは他の段階と比較して成果が出ていない傾向が見られるという。

DXの具体的な取組項目別の成果(経年変化および米国との比較)

 このほか、今回の調査では、データ利活用やAI・生成AI、システムの内製化、レガシーシステムの刷新といった技術の利活用状況の面や、DXを推進する人材の過不足や育成といった人材に関する面についても、過年度調査との経年比較を行い、全101ページのDX動向2024(データ集)を合わせて公開している。