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NTTデータとデンソー、SDV時代に向けたソフトウェア領域で包括提携

 株式会社NTTデータと株式会社デンソーは13日、両社の戦略・人材・技術の協力関係をさらに深化させ、日本の自動車産業の発展や、社会課題解決への貢献をともに目指すことを目的に、6月12日にソフトウェア領域での包括提携に関する覚書を締結したと発表した。車載ソフトウェアなどの車両(In-Car)技術に強みを持つデンソーと、クラウド等の(Out-Car)技術に強みをもつNTTデータが提携することで、大規模・高度化する車載ソフトウェアを高速かつ効率的に開発・提供することを目指す。

 また、高度ソフトウェア人材の拡充・育成強化や、グローバルに展開可能なモビリティサービス基盤をソフトウェア起点で創造し、Software Defined Vehicles(以下、SDV)時代に向けて、クルマの魅力の進化と未来のモビリティ社会の実現に貢献していくと説明。両社の取り組み第一弾として、2030年までに育成も含め両社で3000人規模のソフトウェア開発体制の整備を目指すとしている。

 NTTデータとデンソーは、これまでも連携・協力しており、2016年にはデンソーが、ソフトウェア開発を手掛けるNTTデータMSEへの資本に参加し、車載ソフトウェア開発を推進してきた。また、2022年にはNTTデータとデンソーで電動車向けバッテリーの業界横断エコシステム構築を開始するなど、自動車業界の変革に向けソフトウェア領域での取り組みをともに推進し、関係を強化してきた。

 こうした背景から、両社は従来の活動をより加速し、自動車業界の発展や社会課題解決に貢献することを目的に、ソフトウェア領域における包括提携の基本合意に至ったと説明。NTTデータがこれまでさまざまな業界で取り組んできたクラウドテクノロジー領域と、デンソーがこれまで自動車業界中心に取り組んできた車載ソフトウェア領域との互いの強みを生かし、戦略・人材・技術の面から両社のシナジーを最大化させるとしている。

 提供では、グローバルソフトウェアリソースの拡充に向けた取り組みを推進する。高度運転支援・自動運転や電動化、さらにはSDVに向けた自動車開発においてソフトウェアは非常に重要で、大量のソフトウェアリソースが必要になるとして、両社が有する国内外の拠点におけるソフトウェアリソースのシナジーを最大化し、より大規模かつ高度化する車載ソフトウェアの開発に対応するため、2030年までにグローバルにて3000人規模の開発体制整備に取り組む。

 高度ソフトウェア人材の育成にも取り組み、ソフトウェア領域における育成制度の整備、事業価値創造人材の育成を推進する。これまで両社で培ってきたソフトウェア人材定義をアップデートするとともに、育成制度を再強化、標準化し、自動車業界で汎用的に展開活用できることを目指す。

 ソフトウェア開発支援基盤の拡充に向けては、SDV時代に向けて今後より大規模・高度化する車載ソフトウェアは、開発の高速化や効率化が求められており、AIを使用した評価ツールなど、さまざまな機能開発を支える共通的なソフトウェア開発支援基盤が不可欠だと説明。これまで両社で培ってきた先進的な開発手法やAI活用実績などを生かし、ソリューションを組み合わせた最適な開発支援基盤の共同開発、展開を目指す。

 さらに、社会課題解決への共同取り組みとして、両社は未来のモビリティ社会の実現に向け、これまで培ってきたそれぞれの強みを生かした社会課題解決のためのソリューションを共同検討していく。社会実装に向けた実証を含む取り組みとして加速し、将来的にグローバルに展開していくことを目指す。

 NTTデータとデンソーは提携を通じて、早期に新たなモビリティサービス基盤を創出し、共同展開していくと説明。In-Car、Out-Carにおけるそれぞれの強みを連携させながらアライアンスを深化させ、SDV時代に向けてソフトウェア領域の面からクルマの魅力を進化させることに貢献していくとしている。