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OracleとGoogle Cloudがマルチクラウドで協業、Google CloudがOCIのデータベースサービスとOracleとのインターコネクトを提供

 米Oracleと米Google Cloudは現地時間11日、顧客が「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」とGoogle Cloudのテクノロジーを組み合わせて、アプリケーションの移行と最新化を加速できるようにするパートナーシップについて発表した。

 Google Cloudでは「Cross-Cloud Interconnect」を、世界11のリージョンで顧客のオンボーディングを開始する予定。これにより顧客、クラウド間のデータ転送料なしで汎用ワークロードを導入できるようになる。また、2024年後半には新しいサービス「Oracle Database@Google Cloud」の提供を予定する。このサービスは、最高レベルの「Oracle Database」とネットワークパフォーマンスを、OCIと同等の機能と価格で提供するとしている。

 「Oracle Database@Google Cloud」は、Google Cloudデータセンターに配置され、OCI上で実行されるOracleのデータベースサービスへの直接アクセスを可能にする。このサービスは、顧客のクラウド移行を加速させ、IT環境を最新化し、Google Cloudのインフラストラクチャ、ツール、AIサービス(データと分析、Vertex AI、Gemini基盤モデルなど)のメリットを享受できるようにすることを目的としていると説明。これにより、「Oracle Zero-Downtime Migration」などの実績ある移行ツールとの互換性を含め、「Oracle Database」のGoogle Cloudへの移行を簡素化および高速化する柔軟なオプションを提供するとしている。

 また、「Google Cloud Marketplace」を介することで、購入と契約を簡素化する。顧客は、既存のGoogle Cloudへのコミットメントを使用してOracle Databaseサービスを購入できる。BYOL(Bring Your Own License)やOSR(Oracle Support Rewards)など既存のOracleライセンス特典や、その他の割引プログラムも利用できる。

 Google CloudとOracleによる、統合されたカスタマーエクスペリエンスとサポートを提供。「Oracle Exadata Database Service」「Oracle Autonomous Database Service」「MySQL HeatWave」「Oracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Service」「Oracle GoldenGate」「Oracle Data Safe」など、Oracle Databaseサービス全体のポートフォリオを導入するための統合された運用環境(データセンター)を、Google Cloud内で提供することで、セキュリティ、低レイテンシを実現する。

 Oracleのデータを、「Vertex AI」や「Gemini」基盤モデルなどGoogle CloudのAIサービスと接続することで、カスタマーサービス、従業員サービス、クリエイティブ・スタジオ、開発者環境などのAIアプリケーションやエージェントを強化する。

 Oracleは、北米と欧州の地域を皮切りに、世界中のGoogle Cloudデータセンター内でOracle Databaseサービスを直接運用・管理していく予定。「Oracle Exadata Database Service」「Oracle Autonomous Database Service」および「Oracle Real Application Clusters(RAC)」は、米国東部(アッシュバーン)、米国西部(ソルトレイクシティ)、英国南部(ロンドン)、およびドイツ中部(フランクフルト)の4つのリージョンで2024年後半に提供開始され、その後世界各地に展開するとしている。

 OCIとGoogle Cross-Cloud Interconnectは、顧客がOCIとGoogle Cloudの両方のリージョンにわたってワークロードを展開できるようにする。クラウド間のデータ転送料金はかからない。顧客は11日から、オーストラリア東部(シドニー)、オーストラリア南東部(メルボルン)、ブラジル東部(サンパウロ)、カナダ南東部(モントリオール)、ドイツ中部(フランクフルト)、インド西部(ムンバイ)、日本東部(東京)、シンガポール、スペイン中部(マドリード)、英国南部(ロンドン)、米国東部(アッシュバーン)の11のクロスクラウドインターコネクトリージョンにおいて、オンボーディングを開始できる。

 これにより顧客は、OracleのサービスとGoogle Cloudのサービスを、その機能、パフォーマンス、価格に基づいて最適に組み合わせて利用し、イノベーションを実現できると説明。OCIとGoogle Cloud間の直接相互接続を活用することで、低レイテンシを実現し、最高クラスのマルチクラウドネットワークパフォーマンスを実現できるとしている。

 また、OCIおよびGoogle Cloud上の分散データストアを使用して、「Oracle E-Business Suite」「Oracle PeopleSoft Enterprise」「Oracle Retail Merchandising」など、複数のOracleアプリケーションをOCI上で実行できる。Google CloudのエンタープライズクラスのAIテクノロジーを含むGoogle CloudとOCIのテクノロジーを使用して、新しいクラウドネイティブなアプリケーションを構築できる。

 OracleとGoogle Cloudでは、この新しいマルチクラウド機能は、Google Cloud内でOracle Databaseインスタンスをデプロイ、管理、使用するための、完全に統合されたエクスペリエンスを提供すると説明。また、両方のクラウドにまたがるデータの移動や、新しいクラウドネイティブアプリケーションの導入も可能になり、企業は既存のスキルを活用しながら、OracleとGoogleのクラウド機能を最大限に活用し、クラウドで新たな飛躍を遂げられるとしている。