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IBM、AWS関連で実績を持つクラウドインテグレーターのスカイアーチを買収

 IBMは29日、Amazon Web Services(AWS)の環境構築から運用監視、セキュリティまで、総合的なサービスを提供する日本のクラウドインテグレーター企業である、株式会社スカイアーチネットワークスを買収する最終契約を締結したと発表した。

 買収により、IBM Consultingは、日本において今後さらなる成長が見込まれるパブリッククラウドサービス市場において、AWSアドバンストティアサービスパートナーであるスカイアーチネットワークスが有する専門知識と優れた実績と、IBM Consultingがこれまで手がけてきたハイブリッドクラウド向けアプリケーション管理サービスを組み合わせることで、マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの包括的なクラウドサービスプロバイダーとして、クラウドの特性をフル活用した次世代のエンタープライズシステムを支え、顧客の変革とビジネス成長をさらに支援するとしている。

 IBMは、2020年4月にアービンド・クリシュナ氏がCEOに就任以降、40社以上を買収しており、うち16社はIBM Consultingに関するものだと説明。スカイアーチネットワークスの買収は、IBMにとって日本で初の買収事例であり、IBMの日本市場におけるAWS事業拡大への注力を示すものだとしている。

 IBM Consultingでは、AWS環境構築や運用監視など、AWSに特化した専門人材の強化が必須であると考えていたと説明。スカイアーチネットワークスは、2001年にサーバー管理ビジネスを立ち上げ、近年はAWSに特化した「クラウド構築・運用代行サービス」で実績を伸ばしている。

 AWSアドバンストティアパートナーであるスカイアーチネットワークスは、AWSマネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム、AWSレベル1 MSSPコンピテンシーパートナーなど、13のAWSに関する認定と多くのAWS認定資格者を有する。運用管理・保守の一部を担う「AWS環境構築」、自動化などにより開発者の生産性を高める「AWS運用監視」や「AWS内製化支援」を専門とするスキルを備えた、約160人の社員が在籍し、ソフトウェア、メディア・エンターテインメント、流通、金融サービスといった幅広い領域の顧客にサービスを提供している。

 今回の買収により、スカイアーチネットワークスが強みとする「AWSサービスの再販」から、「AWS環境構築」や「AWS運用監視」と、IBM Consultingが手掛けるアプリケーション開発やモダナイゼーション、運用保守から構成される「アプリケーション・マネージド・サービス」を統合することで、IBM Consultingは、次世代のエンタープライズシステムに必要なサービスを、包括的に提供できるとしている。

 今後、スカイアーチネットワークスは、IBM ConsultingにおけるAWS専門組織の一員として、基幹システムのモダナイゼーションの推進、AWS環境でのSaaSの活用(SAP on AWSなど)を通じて、日本でのAWSプレミアティアパートナー認定の獲得に加え、オートメーションと生成AI活用による次世代型マネージドサービスを提供していくとしている。

 買収は、慣習的な取引完了条件および規制当局の承認に従い、2024年6月に完了する予定。買収完了後、スカイアーチネットワークスは日本IBMの子会社となる。