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2023年の国内ITサービス市場は前年比6.0%増の6兆4608億円、2010年以降では初めて5%超の成長~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は4日、国内ITサービス市場予測を発表した。2023年の国内ITサービス市場は前年比6.0%増の6兆4608億円となり、同市場が5%を超える成長を遂げたのは2010年以降では初めてだとしている。

 2023年の国内ITサービス市場については、国内企業のデジタルビジネス化に向けたマイグレーション/モダナイゼーション、およびデジタルイノベーションの実装に向けた需要がいずれも活発であったことから、好調に推移したと分析。このうち、ITコンサルティングやSIなどを含むプロジェクトベース市場は特に好調で、大企業による大型プロジェクトの実装フェーズへの移行、クラウド移行やモダナイゼーションといった案件が貢献したとしている。

 産業分野別では、政府/公共が、中央官庁の既存システム更新やデジタルガバメントの推進に向けた大型案件によって伸長した他、製造では基幹系システムの刷新やクラウド移行、流通では顧客エクスペリエンス(CX)最適化や大手卸売業のデジタルビジネス強化に向けたシステム、金融では大手金融機関の基幹システムの刷新などが、ITサービス支出を牽引した。

 2024年以降の市場も全体として好調を継続し、2023年~2028年の年間平均成長率は4.8%で拡大、2028年の市場規模は8兆1495億円になると予測している。国内企業のデジタルビジネス化に向けた投資が、既存システムのモダナイゼーション、あるいはデジタルイノベーションの創出に向けたシステムの両領域で需要が活発化していることが共通の背景にあり、こうした変革期の需要により、プロジェクトベース市場がより高い成長を遂げるとしている。

 一方、こうしたサービスを提供する人材の不足、モダナイゼーション案件における受注時採算の想定の困難さなどが市場成長を抑制すると指摘。産業分野別では、すべての産業分野でプラス成長を継続すると予測している。

 2028年までの国内ITサービス市場は、既存システムのクラウドへの単純移行からアプリケーション領域のモダナイゼーション、顧客企業全体のデジタルビジネス化、基幹ITとデジタルイノベーションプラットフォームの統合へと徐々にその成長エリアを移しつつ、全体として好調に拡大すると分析。IDC Japan Software & Servicesのグループマネージャーである植村卓弥氏は、「国内企業は全社的なデジタルビジネス化に向け、既存システムのモダナイゼーションと、デジタルイノベーションを創出する新規システムへの投資を拡大している。一方で、従来型ITへの支出は減少が続く。ITサービスベンダーは、需要増への対応に追われるだけでなくこうした市場変化に適応した能動的な事業ポートフォリオの転換を進める必要がある」と述べている。

国内ITサービス市場 支出額予測:2023年~2028年(出典:IDC Japan)