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国内データセンターの電力キャパシティは2023年~2028年に年平均11.4%増加~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は14日、国内に設置される事業者データセンターのキャパシティ予測を発表した。国内データセンター内のIT機器を稼働せるために提供される電力容量(ITロード)は、2023年末時点の2021MVA(メガボルトアンペア)から、2028年末には3470.9MVAへ増加し、2023年~2028年の年間平均成長率は11.4%で増加するとしている。

 IDC Japanでは、クラウドサービス拠点としてのハイパースケールデータセンター建設需要が急拡大しており、関東および関西では建設ラッシュとなっていると説明。こうした需要急拡大を受けて、ハイパースケールデータセンターの建設と運用の市場には、新規参入するプロバイダーが増加しているという。

 さらに、生成AIの利用に関心が高まり、AIサーバーの導入が進んでいるが、AIサーバーは一般的なサーバーよりも消費電力が大きいため、データセンターの電力キャパシティも大容量であることが求められると説明。現時点では、AIサーバーの利用拡大によって、データセンター電力キャパシティが急激に不足するような事態にはならない見込みだが、データセンター増加の要因となることは確実だとしている。

 データセンター建設需要の増大により、投資マネーがデータセンター市場に大量に流入しており、データセンター投資は過熱気味で、特に、ハイパースケールデータセンター建設は、IT投資というよりも不動産投資に近いものとなっており、市場での競争は激化していると指摘。今後は、供給過剰リスクが高まり、いくつかのプロジェクトでは建設投資が延期される可能性があるという。

 こうした状況を考慮したことで、IDC Japanは、今回のデータセンターキャパシティ電力予測では、前回(2023年10月)予測から予測値を若干引き下げたと説明。IDC Japan株式会社 Software & Services リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「ハイパースケールデータセンター建設では慎重な投資判断をすべきである」と分析している。

国内の事業者データセンター電力キャパシティ予測(ITロード):2022年~2028年(出典:IDC Japan)