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KDDI、LTEのモバイルコアネットワークでAIを活用した障害検知システムの運用を開始

 KDDI株式会社は25日、LTEのモバイルコアネットワークにおいて、AIを活用した障害検知システムの運用を開始したと発表した。

 KDDIは、2022年7月に発生した通信障害を受け、通信障害が社会へ与える影響の甚大さを改めて認識するとともに、再発防止に向けた改善と高いネットワーク品質を目指す取り組みを進めており、その一環として動システムの運用を実施するとしている。

 これまでの障害を検知するシステムでは、障害を判断する一定の基準値(固定しきい値)を設定して障害を検知していたが、昼間に多く使われ、夜間に減少するトラフィック量など、時間帯や平日・休日の違いで値が大きく変動するパターンでは固定しきい値を設定することが難しく、こうしたパターンのデータでの障害検知が課題だったという。

 今回、障害検知システムの導入により、複雑な基準値を動的に設定することが可能になり(動的しきい値)、時間帯や平日・休日などの違いで値が大きく変動するパターンの障害検知を実現した。これにより、監視可能なデータ数を約6倍に増やし、障害を検知できる可能性を大幅に高められる。

システムの仕組み

 システムは、過去のパフォーマンスデータのパターンを学習して、予測値を生成する。この予測値と実測値を比較して、大きく乖離(かいり)がある場合に異常が発生しているものとして、障害検知の判断に活用している。また、過去のパフォーマンスデータには、時間帯や平日・休日などの時系列データに関連する属性も含まれており、これらのデータを使用し、より精度高く予測する仕組みを備えている。

 例えば、音声接続成功率など、正常時は一定の値となるパフォーマンスデータに対しては、固定しきい値を用いて基準値を設定することで異常を検知できるが、トラフィック量など、時間帯や平日・休日などで傾向のあるパフォーマンスデータに対しては、効果的な基準値を設定できなかった。システムでは、時間帯や平日・休日などの属性を含めたパフォーマンスデータを分析することで、例えば、祝日を考慮したパターンとなる予測値を自動的に生成できるようになった。

 これにより、監視対象のパフォーマンスデータ数を、固定しきい値だけの適用に比べ6倍に拡大、異常を検知できる可能性を大幅に高めることで、障害の大規模化の予防につなげられる。

 KDDIでは、今後も障害検知システムの高度化を通して通信障害の大規模化予防に努め、顧客の生活を支えるネットワーク品質のさらなる向上につなげていくとしている。

システムによる監視対象の拡大