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KDDI研究所、人工知能による故障予測に基づくネットワーク自動運用システムの実証に成功

 株式会社KDDI研究所は22日、ウインドリバー株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社、ブロケード・コミュニケーションズ・システムズ株式会社と協力し、人工知能を活用した自動運用システムを開発し、世界で初めて人工知能による故障予測に基づきネットワークを自動運用する実証に成功したと発表した。実証の成果は、スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2016」(MWC 2016)のIntelブース内で展示される。

人工知能を用いたNFV/SDN自動運用システム

 KDDI研究所では、ネットワーク仮想化技術は重要な設備の輻輳時や、他設備の資源(処理能力)を迅速に融通して深刻な事態を回避するといった効果が期待されており、第5世代移動通信システム(5G)に向けては、IoT/M2Mや医療サービスなど多様化する要件を満足するために、ネットワーク仮想化による柔軟性の実現が不可欠になると説明。しかし、通信設備を対象とした仮想化技術は途上段階にあり、特に障害対応作業が複雑化する懸念があったという。そこで、2015年5月には共通的な仮想化基盤に対して、ネットワーク機能やサーバー資源などを一元的に制御して仮想化をつかさどる管理システムであるSDN/NFVオーケストレーターと監視システムとを連携させ、発生した障害を自動的に復旧する運用自動化を実証している。

 一方で、汎用サーバーやオープンソースソフトなどの活用に伴い、通常の監視や診断では予測が困難なハードウェアの劣化やソフトウェアのバグなどが運用自動化の盲点となり、サービスに甚大な影響を引き起こす可能性が指摘されていると説明。また、こうした事象への対応技術は十分確立されておらず、標準や実装も未整備な状況だとしている。

 実証実験では、共通的なネットワーク仮想化基盤に、ハードウェアやソフトウェアの深刻な障害の兆候を検知する人工知能を埋め込み、効率的に学習、状況判断するとともに、予兆結果に基づいてSDN/NFVオーケストレーターが最適な復旧プランを導出し、仮想化された機能を瞬時に移行させる自動運用システムを構築。ソフトウェアバグなどの異常の兆候を、9割以上の精度で事前に検知し、従来の約5倍の速度で仮想化された機能を別拠点などの安全な場所へ移行することに成功した。

 KDDI研究所では、今回の成果は、設備警報などで検知可能な異常だけでなく、まれながらもいったん発生すると深刻な事態を引き起こす恐れのある事象にも対応可能となり、ネットワーク仮想化時代の運用高度化の実現に向けた大きな一歩になるとしている。

三柳 英樹