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日本の従業員は“世界で最も休憩を取らない”ことが明らかに――Slack調査
2023年12月22日 06:00
Salesforce CompanyのSlackは20日、未来の働き方について同社が実施したグローバル調査「Slack Workforce Index」に関する説明会を開催した。
同調査は、主に時間外労働と生産性の関係に注目したもので、米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国でフルタイムにて働く従業員1万333人を対象に、2023年8月24日から9月15日にかけて実施したもの。日本での調査対象者は1075人だった。
この調査を統括したSlack ユーザーインターフェース/ユーザー エクスペリエンス担当シニアバイスプレジデントのクリスティーナ・ジャンザー(Christina Janzer)氏によると、デスクワーカーの5人中2人が「時間外労働が常態化している」と回答、その半数以上が自らの選択ではなく、プレッシャーを感じて残業をしていると回答したという。
ジャンサー氏は、「プレッシャーを感じて残業をしている従業員は、1日を通じて全体的な生産性が20%低下している。しかも、日本に限定すると生産性が37%も低下しており、グローバルでの結果よりも悪い」と指摘する。
ただし、仕事に熱中していて時間外になってしまうケースや、やりがいを感じてもう少し働きたいと考えているなど、自らの選択で残業している従業員は、若干生産性が高かったという。
またジャンサー氏は、「従業員は業務時間の配分に苦労している」として、会議に時間を使いすぎていると回答した従業員が4人に1人、メールに時間がかかりすぎていると回答した従業員が4人に1人、同僚と交流する十分な時間がないと回答した従業員が5人に1人だったと述べている。
ジャンサー氏は、半数のデスクワーカーが勤務時間中にほとんど、あるいは全く休憩を取らないと回答したことにも言及。休憩を取らない従業員は、日本では63%と調査対象国の中で最も多かったとし、「このような従業員は、1.7倍高い割合で燃え尽きを経験している」とした。
一方で、定期的に休憩を取る従業員は、休憩を取らない従業員よりも生産性が13%高いほか、ワークライフバランスのスコアが62%、ストレス管理能力が43%、全体的な満足度が43%高いという。
午後のスランプは実在する
生産性は、1日を通じて同じではないことを多くの人は経験しているだろう。ジャンサー氏も、「午後のスランプは実際に発生している」と語る。デスクワーカーの4人に3人が午後3時~6時に勤務しているにもかかわらず、この時間帯の生産性が高いと考えているのは4人中1人のみという結果が出たためだ。
生産性を維持できる時間についても調査したところ、平均的なデスクワーカーが集中して仕事をする理想的な時間は1日4時間程度だった。また、従業員の大半が会議に時間を費やしすぎていると感じる時間の分岐点は1日2時間で、そのように感じている割合は27%。ジャンサー氏は、「会議に費やす時間が長すぎると回答しているデスクワーカーは、業務に集中する時間が十分にないと感じる割合が2倍以上だった」と付け加えている。
AIへの関心が高い日本の経営幹部
調査では、AIツールの活用についても調べており、94%の経営幹部がAIツールを取り入れることに一定の緊急性を感じていることが明らかになった。しかも、日本でそのように感じている経営幹部は100%で、「特に日本ではAIツールへの関心が高い」とジャンサー氏は述べている。
一方、仕事にAIを使用したことがあるデスクワーカーは5人に1人に過ぎず、80%以上がAIツールで業務の生産性が向上していないと回答。日本では、生産性が向上していないと答えた割合が91%と、「調査対象国の中で最下位だった」とジャンサー氏。
AIツールが将来最も大きな価値をもたらすと従業員が期待している分野についても聞いたところ、グローバルでは「会議の議事録作成」「文章作成の補助」「ワークフローの自動化」の順だった。一方日本では、「会議の議事録作成」「情報の要約」「文書作成の補助」の順で、「『情報の要約』がトップ3に入ったのは日本のみ。日本では、単にAIにビジネスプロセスを自動化させるより、情報の要約に期待を寄せているようだ」とジャンサー氏は述べている。
今後のSlackにおけるAI機能についてジャンサー氏は、「3つの機能を検討している。まず、追いついていないチャネルの会話をまとめて見ることできるようにする機能。また、長くなりすぎて全部読むのが大変なスレッドをまとめる機能。そして検索機能だ」と述べた。