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三井住友海上、社員向け生成AIツール「MS-Assistant」にNECの技術を活用し、損害保険業務の専門的な照会応答機能を追加

 三井住友海上火災保険株式会社(以下、三井住友海上)と日本電気株式会社(以下、NEC)は14日、生成AIが損害保険の商品規定や事務手続きルールに関する照会などを自動で回答する照会応答機能を開発し、10月25日から三井住友海上の全社員が利用する「MS-Assistant」に機能を追加したと発表した。

 三井住友海上では、5月17日に情報セキュリティの安全性を確保した生成AIチャットツール「MS-Assistant」を、全社員が利用できる環境を整え、「Azure OpenAI Service」を通じてGPT4を活用した文章作成・校正、翻訳、ブレインストーミング、プログラミングなどの一般的な業務に活用している。

 さらに、損害保険業務の専門知識を必要とする照会への対象範囲拡大に向け、NECのソフトウェア「NEC Generative AI Framework」を活用して技術検証を進めた結果、専門知識が必要とされる、商品・事務手続きマニュアルなどの複雑なドキュメントを参照した回答を自動生成する機能でも、高い精度を確認できたため、MS-Assistantに機能を追加し、10月25日から全社員で利用を開始した。

 検索AIと生成AIを組み合わせた対話型AIを構築し、自動車保険の商品・事務手続きマニュアルを学習することで、専門知識を必要とする照会への回答を自動生成する機能を開発した。また、MS-Assistantによる回答内容へのフィードバック入力機能や、社員からの改善要望窓口を設置し、利用ログの分析による回答内容の精度向上や対象範囲の拡大につなげていく。

 これらの機能を活用することで、マニュアルを調べるといった内務的な業務を効率化し、補償前後のソリューションなど、新たな価値を顧客に提供する業務に注力していけるとしている。なお、三井住友海上では、ハルシネーション(AIが事実と異なる情報を回答する現象)など生成AI特有のリスクを踏まえた利用ルールを、全社員向けの情報管理研修などで周知することで、適正な利用を徹底しているという。

 三井住友海上は、照会業務の効率化や顧客対応の品質向上に向けて、保険約款やFAQなどの学習データ追加による機能拡充を図っていく。また、保険代理店システムにおける生成AI活用検討も進める。さらには、既に三井住友海上も参加している、NECと顧客が共に生成AI活用を促進するプログラム「NEC Generative AI Advanced Customer Program」を通じて、より業界に特化した専門的なLLM5の導入なども協議していくとしている。

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