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三井住友海上とNEC、照会応答機能の精度向上を実現する業務特化型LLMを開発

三井住友海上の社内向け生成AI基盤で運用開始

 MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険株式会社(以下、三井住友海上)と日本電気株式会社(以下、NEC)は23日、照会応答機能の高度化に向けた業務特化型LLM(大規模言語モデル)を開発し、三井住友海上の全社員が利用する社内向け生成AI基盤「MS-Assistant」にて運用を開始したと発表した。

 三井住友海上では2023年10月より、損害保険の商品規定や事務手続きルール等の照会に自動で回答する照会応答機能を「MS-Assistant」に追加していたが、同機能のさらなる精度向上に向け、NECの生成AI「cotomi」をベースとした業務特化型LLMを、同社と共同開発した。そして、このLLMとAzure OpenAI Serviceの照会支援機能を組み合わせることで、「MS-Assistant」の照会回答の精度向上が確認できたことから、全社展開に至ったとのこと。

 なお、今回開発されたLLMは、約1.2万人の三井住友海上社員によるフィードバックを分析・学習し、ドキュメント検索等に活用できる仕組みを実装したもの。システム利用者(社員)自らがAIを育て、実効性の高いAIと協働することで、業務効率化を図るという。さらに、生成AI特有のリスクであるハルシネーションを考慮し、適切な利用に向けたルールを全社員に周知・徹底しているとした。

 両社では今後も、照会業務の効率化と顧客対応品質の向上に向け、保険約款やFAQ等のデータを追加し、機能拡充を進める考え。さらに、保険代理店システムへの生成AI活用を検討し、保険業界に特化したLLMの導入を進めることで、保険代理店の業務効率化と、顧客への提供価値の変革を目指すとしている。