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SCSK、企業のクラウドネイティブ化やアジャイル開発などを推進するサービス「NebulaShift」
2023年12月14日 06:15
SCSK株式会社は、企業のクラウドネイティブ化やアジャイル開発などを推進するサービス「NebulaShift(ネビュラシフト)」を12月13日から提供開始した。
NebulaShiftでは、クラウドネイティブアプリケーションが求める環境の設計、構築、プロダクトサポート、フルマネージドサービスから、アジャイルに関するコンサルティング、技術支援、コーチングまでを提供する。つまり、プラットフォームから、コンテナ基盤、ミドルウェア、アプリケーション構築、ビジネスまで、“下から上まで”のレイヤーをサポートする。
NebulaShiftは、こうしたサービスの総称。その中の主なサービスとしては、「アジャイル開発成功への教育・伴走型技術支援サービス」「既存のアプリケーションのモダナイズ支援サービス」「インフラ環境のフルマネージドサービス」の3つがある。顧客は、こうしたサービスから必要なサービスのみを組み合わせて利用することも可能という。
NebulaShiftの提供にあたっては、レッドハット株式会社と日本ヒューレット・パッカード合同会社(HPE Japan)の2社と協業する。
レッドハットからは、コンサルティングサービス「Red Hat Open Innovation Labs」によるアジャイル開発支援や、ミドルウェア群「Red Hat Application Services」によるアプリケーションのクラウド移行、コンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift」を、NebulaShiftと組み合わせる。
さらに、協業を通して、SCSK自身でもコンテナ技術を核にしたクラウドネイティブ人材を500名に増やす。
またHPE Japanからは、オンプレミスのハードウェアからミドルウェアまで従量課金で利用できる「HPE GreenLake」を組み合わせ、OPEXで提供して“Newオンプレミス”を実現する。
ビジネス目標としては、2026年度末までに、NebulaShift関連事業において100億円の売上、導入社数50社を目指す。顧客企業としては、製造・流通、通信、金融、電力・ガスなどを想定している。
アジャイル開発支援、アプリケーションモダナイズ、フルマネージドサービスのインフラなどを提供
同日開催された記者発表会で、SCSKの小峰正樹氏(執行役員 常務 プロダクト・サービス事業グループ グループ長)は、背景として、企業がDXの中でITシステムを迅速に市場に投入して軌道修正していく必要性を説明。そのためにクラウドネイティブな思考が必要だと語った。
NebulaShiftはそのためのサービスの総称であり、主なサービスとしては、「アジャイル開発成功への教育・伴走型技術支援サービス」「既存のアプリケーションのモダナイズ支援サービス」「インフラ環境のフルマネージドサービス」の3つがある、と氏は説明した。
小峰氏は、想定するユースケースを3種類挙げた。「アジャイル開発を始めたいので相談にのってほしい」という要望には、アジャイル開発の伴走型支援を提供する。「アプリケーションをモダナイズしたい」という要望には、アプリケーションのクラウドネイティブ化やマイクロサービス化、コンテナ基盤などを提案する。「ハイブリッドクラウド環境を利用したい、パブリックウラウドだけでなくオンプレミスも同じように使いたい」という要望にはコンテナ化を支援する。
今後の予定としては、2024年1月以降に、SCSK、レッドハット、HPE Japanの3社で共同セミナーを開催する。また、顧客向けにNebulaShiftインフラ(オンプレミスコンテナ)の検証環境を用意する。
ちなみに小峰氏は「NebulaShift」という名前の由来として、「雲(Cloud)の上位である星雲(Nebula)にシフトすることを意味しており、マイクロサービス群を星雲に見立てた」と説明。「お客さまのビジネスに寄与し続け、革新し続けるサービスでありたい」と語った。
新しい分野としてのアジャイル伴走支援と、従来分野での「新しいSI」
また、SCSKでアジャイルコーチをしている山本尊人氏(技術戦略本部 アジャイル推進部 アジャイル推進課 課長 クラウドアプリケーションデベロップメントエバンジェリスト)も、主にアジャイル支援を中心にサービスリリースの背景を説明。従来の開発は明確なゴールのある中で秩序をもって推進していたのに対し、現在ではゴールが見えなかったり動いていったりするため、アジャイル開発が必要になると述べた。
そしてそのための、マインド、振る舞い、マネジメントの変革を支援するのがNebulaShift、と山本氏は語った。
サービス内容としては、以前からSCSKが提供していたソフトウェア開発・インフラ構築およびプロダクトソリューションに加えて、アジャイル導入やビジネス共創の伴走支援という新しいビジネス領域が加わる。
また、以前からのソフトウェア開発・インフラ構築およびプロダクトソリューションにおいても、今回の3社でクラウドネイティブに進化させ「新しいSI」を目指す。
NebulaShiftのサービス全体について、山本氏は「決まったものを正しく実現する」「変化するなかで顧客満足を実現する」「すばやく実現する」の3つのバランスが大事だと語った。
DXに向けて技術から組織改革もコンサルティングするRed Hat Open Innovation Labs
記者発表会に登場したレッドハット株式会社 代表取締役社長 三浦美穂氏も、今回のSCSKとレッドハットの連携について説明した。
レッドハットの提供形態はオンプレミスだけでなくクラウドに広がり、Linuxのクラウドでの提供だけでなく、OpenShiftでもマネージドサービスやクラウドプロバイダーからの提供が広がっているという。そうした、オンプレミスやクラウドなどの選択肢が増える中で、クラウドパートナーや、SCSKを含むOEMパートナーとともに、オープンハイブリッドクラウドを推進している、と三浦氏は語った。
そうしたプラットフォームを使ってアジャイルをどう始めるかという相談が多く、それに対応するのが、今回の協業にも含まれる「Red Hat Open Innovation Labs」だ。DXややアジャイルを実現するための伴走型コンサルティングサービスで、技術だけでなく組織的な改革も支援するという。
具体的な協業としては、人材育成やOpen Innovation Labsの活用を行う。また、SCSK自身でも、クラウドネイティブ人材の500名以上の育成を支援する。そして、3社ともに営業活動を加速し提案力を強化する、と三浦氏は説明した。
HPE GreenLakeでオンプレミスからパブリッククラウドまでas a serviceで利用し管理
日本ヒューレット・パッカード合同会社(HPE Japan) 常務執行役員 パートナー・アライアンス営業 統括本部長 田中泰光氏は、HPE GreenLakeとNebulaShiftについて説明した。
田中氏は、「企業がコロナ禍によりクラウドシフトを加速しつつ、その収束とともにオンプレミスに戻り、ITの環境がクラウドにもありつつオンプレミスにもあて、ごちゃごちゃしている」と状況を説明。これを「Hybrid Cloud by Accident(図らずもハイブリッドクラウド)」と呼んだ。そして、「by Accidentではなくby Design(意図的)のハイブリッドクラウドをお客さまやパートナーとともに進める」と語った。
そのためのプラットフォームとしてHPEが打ち出しているのが、HPE GreenLake Edge-to-Cloud Platformだ。オンプレミスのハードウェアも従量課金のas a serviceモデルで提供。そこから、複数のサイトを一括監視できるようにし、サブスクリプションの情報もそこで見られるようになっている。
そして、HPEは3月にOpsRamp社を買収しており、マルチベンダーやマルチクラウドの管理に対応した技術をこれからGreenLakeに組み込む。これにより、他社製品やハイパースケーラーのサービスも管理できる形にもっていくと田中氏は説明した「過去には、いろいろな製品を管理できるHP OpenViewがあった。これの次世代版、ハイブリッドクラウド版と考えていただければいいと思う」(田中氏)。
SCSKへの期待としては、GreenLakeをこれまでも「USiZE」で採用していることによる実績と、そこにアジャイル開発が加わることによる、アジャイル開発とハイブリッドクラウドのフルマネージドサービスが大きな期待だと田中氏は語った。