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NTT東日本、ローカル5G機器の相互接続やユースケース実証を行う共創プロジェクトを立ち上げ

 東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)は6日、国内外の通信機器ベンダーなど18社と、ローカル5Gのさらなる低廉化と利便性向上による普及・拡大を目的に、ローカル5G機器の相互接続や、ユースケース実証を行う新たな共創プロジェクトを立ち上げることに合意したと発表した。

 ローカル5Gのシステムでは、端末の認証やネットワーク制御などを担う5Gコアと、電波等の無線制御を行う基地局(RAN)に用いられる機器は、それぞれ同一ベンダーの製品で構成されることが一般的となっているが、ユースケースによってはオーバースペックな機器構成となるケースも多くあるため、ベンダーをまたいでローカル5G機器(5Gコア、基地局、端末)を接続することにより、顧客の求める要件や予算に応じた、最適な機器構成でのネットワーク環境の実現が期待されている。

 一方、ベンダーをまたいだローカル5Gシステムを構成するには、機器ごとの設定パラメーターのチューニングをベンダーの垣根を越えて実施する必要があるため、導入は限定的になっているのが実情だという。

 また、工場や物流倉庫などの広域なエリアでは、さまざまな通信要件の端末が混在して設置されるケースが多くあり、多様なユースケースへの対応が求められている。例えば、顧客環境において、設置機器の移動などのレイアウト変更を行った際に、各端末の通信要件を実現するためには、端末の接続先基地局を変更するハンドオーバー時に必要なパラメーターなどを都度調整する必要があるため、顧客による煩雑なオペレーションを不要とする、自律的・自動的な機器パラメーター制御の実現も期待されている。

 こうした背景を踏まえ、NTTではローカル5Gのさらなる社会実装を進めていくことを目的に、国内外の通信機器ベンダーなど企業18社により、共創プロジェクトを立ち上げると説明。各社が開発するローカル5G機器の相互接続の推進や、ユースケースに応じたローカル5G機器のパラメーターの最適化実証などを行うことで、システムの低廉化・ユーザビリティ向上を促進し、ローカル5Gの普及・拡大を目指すとしている。

 プロジェクトでは、異なる通信機器ベンダーのローカル5G機器間の相互接続実証と、ユースケースに応じたローカル5G機器のパラメーターの最適化実証の2つのテーマを皮切りに、各社共同で実証を進めながら、ローカル5Gの普及・拡大を促進していく。

 異なる通信機器ベンダーのローカル5G機器間の相互接続実証では、ローカル5Gシステムの低廉化を目指し、異なるベンダーのローカル5G機器間の接続性を確認し、接続成功パターンでの通信性能や、高精細映像伝送等のユースケースで通信品質を評価する。加えて、接続不可となった場合の事例をとりまとめ、相互接続における運用ノウハウを確立する。

 ユースケースに応じたローカル5G機器のパラメーターの最適化実証では、ユースケースの拡充と、ユースケースに応じた高品質なローカル5G環境の提供によるユーザビリティ向上を目的として、高精細なリアルタイム映像通信や、ロボット操作などの途切れては困る重要な通信など、さまざまな通信要件が混在する環境下において、優先制御や帯域制御といったサービス品質を制御する技術に対応した値やハンドオーバーパラメーターなどの機器パラメーターの最適値を明確化する。

 加えて、RIC(RAN Intelligent Controller)の活用を視野に、工場や物流倉庫におけるレイアウト変更などで環境が変わった場合においても、自律的・自動的にパラメーター制御が行われることで、高品質なローカル5G通信を継続的に提供する仕組みの実現を目指す。

取り組みの実証イメージ

 プロジェクト参画企業は、Askey Computer、HTC、LITE-ON Technology、NECマグナスコミュニケーションズ株式会社、NTTテクノクロス株式会社、Quanta Cloud Technology、REIGN Technology、エアースパン・ジャパン株式会社、株式会社FLARE SYSTEMS、京セラ株式会社、工業技術研究院(ITRI)、日本電気株式会社、日本ヒューレット・パッカード合同会社、日本ライトン株式会社、ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社、ハイテクインター株式会社、パナソニック コネクト株式会社、東日本電信電話株式会社。

 NTT東日本では、年内に本プロジェクトに参画する企業と共同実証を開始し、得られた成果を国内だけでなく海外へ発信するとともに、アプリケーションベンダーなどの新たなメンバーを増やしながら、さまざまなユースケースの実証を進めていくと説明。プロジェクトでの成果や、参画企業との共創を通じて、ローカル5Gの社会実装の加速、産業DXの促進・社会課題の解決を目指していくとしている。