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エムスクエア・ラボ、NTT Comなど5者、5G SAを利用したクラウド型モビリティデバイス基盤の実証実験に成功

 株式会社エムスクエア・ラボ、株式会社GClue、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科、株式会社ON BOARD、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)の5者は、5G SAを利用したクラウド型モビリティデバイスプラットフォームの開発および実証実験を、9月26日に新潟大学で実施したと発表した。

 開発および実証は、エムスクエア・ラボが受託した、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」(JPNP20017)における委託事業として行った。

 クラウド型モビリティデバイスプラットフォームとは、モビリティデバイスの機能の大部分をクラウドに移行することで、1つのモビリティデバイスを複数の用途で活用できるようにする仕組みを指す。物理的なモビリティデバイスと、モビリティデバイスの頭脳となるデバイスマネジメントシステムから構成される。

 モビリティデバイスは、移動機能を中心として共通的に利用する「移動ロボット」部分と、各ユースケースに特化した「用途ごとロボット」部分を組み合わせ、着脱できる構成を採用することで、「用途ごとロボット」部分を変更するだけで、さまざまな用途でモビリティデバイスを活用できるようにしている。

 デバイスマネジメントシステムは、モビリティデバイスの機能の大部分をクラウドに置き、クラウド上にあるアプリケーションを選択して使用することで、「移動ロボット」をさまざまな用途に対して柔軟に適用することを可能とする。また、5G SA、docomo MECを活用することで、低遅延・高精度でのモビリティ制御ができる。

 さらに、外部システムとデバイスマネジメントシステムが連携することで、1つのモビリティデバイスを複数の用途で活用できる。外部システムとしては、農業用や工場用などの「用途ごとロボット」用アプリが例として挙げられるとしている。

クラウド型モビリティデバイスプラットフォーム構成図

 開発したクラウド型モビリティデバイスプラットフォームの有効性を検証するため、ロボティクスに関する研究を実施しており走行試験に適した環境を有している新潟大学の協力のもと、新潟大学構内で実証を実施した。実証では、モビリティデバイスで前方の映像を撮影しながら走行させ、クラウド上での映像解析により障害物を検知した際に車両を自動的に停止させる制御機能の検証、遠隔制御の低遅延化に必要な通信性能や、映像伝送や車両停止に関する遅延時間の測定、障害物を検出してからモビリティデバイスが実際に停止するまでの距離・時間などの検証を行った。

 実証により、モビリティデバイスからクラウドへの映像伝送、クラウドでのデータ処理・解析、またモビリティデバイスへのフィードバックに関する一連の流れを低遅延で実現できることを確認し、クラウド型モビリティデバイスを実用化段階まで到達させられたとしている。

 実証の具体的な成果としては、5G SAの高速通信を利用することで、時速6kmで走行中のモビリティデバイスが、障害物の自動検出から1m以内の距離で自動停止できること、複雑な走行ルートを走行できること、遠隔操作は操作者の違和感なく遠隔操作できることが確認できたという。

実証実験風景

 今後、5者は、モビリティデバイスプラットフォームに関する技術を進化させながら、さまざまなユースケースへ適用していくことで、地域における人の移動手段の確保や物流の維持という社会課題の解決に貢献していくと説明。エムスクエア・ラボ、GClue、東京大学大学院工学系研究科、ON BOARDは、多様な「用途ごとロボット」の技術開発を行い、NTT Comは5G SAやdocomo MECなどの通信環境の提供により技術開発の支援を行うとしている。