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大日本印刷、メタバース空間でサイバー攻撃に備えた組織連携トレーニングを実施する演習コースを提供

インシデント発生時に取るべき行動や組織連携のあり方を学習

 大日本印刷株式会社(以下、DNP)は28日、インターネット上の仮想空間であるメタバースにおいて、複数の部門が連携してセキュリティ上の脅威事象(インシデント)発生時の緊急対応と組織間連携を学べる「組織連携コース_メタバース演習」を開発したと発表した。企業の経営・マネジメント層を対象に、11月8日から、サイバーセキュリティ人材育成サービス「サイバーナレッジアカデミー」の新しいコースとして提供を開始する。

 「組織連携コース_メタバース演習」は、インシデント発生の際に対応指示等の責任を持つ経営・マネジメント層のメンバー4人が、それぞれの役割(ロール)に分かれて、メタバースで演習を行うもの。

組織連携コース_メタバース演習のイメージ

 DNPでは、2016年からサイバーセキュリティ対策要員を育成する「サイバーナレッジアカデミー」を運用し、CSIRT等の実務者を対象とした教育や、「経営層向け情報セキュリティ講習」などを行ってきた実績を持つ。新サービスは、これらの中で得た知見・ノウハウと、DNPが2023年7月に提供開始した「ロールプレイング型のメタバース構築サービス」の強みを掛け合わせて開発しており、インシデント発生時に取るべき行動や組織連携のあり方について、場所の制約なく学べるという。

 具体的には、情報セキュリティの責任者であるCISO(Chief Information Security Officer)やCSIRT長・事業部長・広報部長の役割に分かれ、4人一組で、各人のPCからメタバースの演習室にアクセスして、約2時間の机上演習を行う。

 参加者は役割に応じて、提供される状況の情報を元に、発生したインシデントへの対処指示や社内外の関係者への情報連携など、適切な対応を選んでシナリオを進めていくことになる。普段とは異なる有事の連携・対応を仮想的に経験することで、実際のインシデント発生時の的確な対応につなげられるほか、演習終了後には参加者各自の取り組みの結果と評価が提示されるので、対応の課題や改善点を理解できるとのこと。

 こうした部門横断型のサイバーセキュリティ演習はこれまで、会場の準備や参加者の調整などに時間がかかっていましたが、この演習は、遠隔地からでも参加できる点がメリット。また、「周囲のメンバーの回答を見て、自身の取るべき行動が推察できてしまう」という、従来の集合型演習の課題も解消できるとしている。

 なお演習のシナリオについては、数多くのインシデント対応で実績がある名和利男氏(サイバーディフェンス研究所専務理事 上級分析官)の知見を反映しているとのことだ。

 受講時間は1.5~2時間で、受講料は1グループ55万円(税込)となる。

組織連携コース_メタバース演習 受講イメージ