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AMD、“Siena”ことEPYC 8004の提供開始を発表 Zen 4cコア採用で競合他社製品に比べて最大2倍の電力効率を実現

 AMDは9月18日(米国時間)に報道発表を行い、同社が開発コード名「Siena」(シエナ)で開発を続けてきた第4世代EPYCの特定用途版となるEPYC 8004シリーズ(以下EPYC 8004)を発表し、OEMメーカーなどに対して提供開始したことを明らかにした。

 EPYC 8004は、CPUコアにL3キャッシュをCPUコア1つあたり2MBにした「Zen 4c」コアを採用しており、1ソケットあたり最大64コア構成で可能。シングルソケットのみに対応する。

 AMDは、このEPYC 8004をインテリジェントエッジ向けと位置づけており、通信キャリアや製造業、リテールショップなどがエッジサーバーなどを導入する用途に最適だと説明している。

AMDが発表した開発コード名SienaのEPYC 8004シリーズ、第4世代EPYCのバリエーションとなる

キャッシュメモリやコアの統合機能などを省略してコンパクト化したZen 4cを採用、1P向けのSP6ソケットにしたSiena

 AMDは昨年の11月に開発コード名Genoa(ジェノア)こと第4世代AMD EPYCプロセッサー(以下第4世代EPYC)を発表した。その後、本年6月に3D V-Cacheと呼ばれる3D方向にSRAMを積載したGenoa-X(ジェノアエックス)を「3D V-Cache搭載 第4世代AMD EPYCプロセッサー」、Zen 4cコアを採用し1ソケットあたり128コアを実現した高密度サーバー向けのBergamo(ベルガモ)を「第4世代EPYC 97X4」として6月に発表している。

 AMDは第4世代EPYCのバリエーションとして、開発コード名Sienaで呼ばれる製品を予定していることを以前から明らかにしており、それが今回発表された第4世代EPYC EPYC8004シリーズ(以下EPYC 8004)になる。

第4世代EPYC(Genoa)、3D V-Cache搭載 第4世代EPYC(Genoa-X)、第4世代EPYC 97X4(Bergamo)とリリースしてきて、最後のSienaがEPYC 8004シリーズとして発表された

 EPYC 8004の最大の特徴は、Bergamoと同じようにZen 4cコアという、第4世代EPYCで採用されているZen 4コアの軽量版が採用されていることだ。このZen 4cコアのCPUが16個で1つのダイになっており、EPYC 97X4(Bergamo)では1つのパッケージ上にその16コアのダイが8つ搭載されていることで、最大128コア構成が可能になっていた。

 それに対してEPYC 8004では、その16コアのZen 4cから構成されるダイが4つ搭載される形になっており、ざっくり言うとBergamoに搭載されていたダイの数が半分になったのがSienaだと考えるとわかりやすいだろう。

Bergamoでは16コアのダイが8つ搭載されていたが、Sienaでは16コアのダイが4つになっている

 ただし、BergamoはGenoaやGenoa-Xと同じパッケージとCPUソケット(SP5)を採用していたが、今回発表されたSienaことEPYC 8004では、CPUソケットはSP5よりもやや小さなSP6に変更されており、ほかの第4世代EPYCとは互換性がない。かつ、EPYC 8004は1ソケットのみをサポートしており、より低コスト向けという位置づけがされている。

 メモリはDDR5-4800に対応しており、1ソケットあたり6チャンネルのメモリをサポートする、メモリの最大容量は1.152TB。また、96レーンのPCI Express Gen 5に対応しているほか、そのうち最大48レーンをCXL 1.1+として利用することが可能だ。TDPに関しては70W~225Wに設定されており、最大400Wに達するような第4世代EPYCに比べると低めのTDP設定になっている。

Sienaのハイレベルの特徴、ソケットはSP6で最大6チャンネルのメモリ構成、1Pのみに対応

競合と比較して1P時の電力効率が2倍になるとAMD、本日よりOEMメーカーなどに対して提供開始

 AMDはこのEPYC 8004を、インテリジェントエッジ向けと位置づけており、通信キャリア、製造業、リテールショップなどでフィールドに置かれるようなエッジサーバーに最適だと説明している。本日よりOEMメーカーなどに対して提供が開始され、DellがDell PowerEdge C6615として、LenovoはLenovo ThinkEdge SE455 V3、SupermicroはSupermicro WIO Systemなどのエッジサーバーを発表したほか、Microsoftは今後、Microsoft Azureのサービスとして、エッジサーバーにEPYC 8004を採用する計画であることが明らかにされた。

Dell、Lenovo、Supermicroがエッジサーバーを発表

 公表されたベンチマークデータによれば、64コアのEPYC 8534Pは、第4世代Xeon SP Platinum 8490H(60コア)と比較して、SPECpower_ssj 2008の結果で1P時の電力効率が2倍。32コアのEPYC 8324Pは、同じく32コアの第4世代Xeon SP 6421Nと比較してコアあたりのトランスコード性能が1.16倍、EPYC 8024Pは第4世代Xeon SP Bronze 3408Uと比較して電力効率が1.9倍となっているとAMDはアピールしている。

AMDが公開したベンチマークデータ

 なおAMDの発表によれば、EPYC 8004のSKU構成は以下のようになっている。

表1:EPYC 8004のSKU構成