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日本マイクロソフトと立命館が連携、国内教育機関初の「Microsoft Base」でDX支援

 日本マイクロソフト株式会社と学校法人立命館は3日、「連携・協力に関する協定書」を締結したと発表した。この協定により立命館は、日本マイクロソフトが全国で展開する「Microsoft Base」を、日本の教育機関として初めて同校の大阪いばらきキャンパスに開設し、DX人材の育成などに取り組む。

今回の連携・協力協定について

 立命館では、2030年に向けた中期計画として、学園ビジョン「R2030」を策定、イノベーションや創発性人材の育成と輩出に取り組んでいる。その中で大阪いばらきキャンパスは、挑戦を後押しする学びの場「TRY FIELD」と位置づけられており、2024年4月に竣工する新棟内に「Microsoft Base Ritsumeikan」(MBR)を開設することでキャンパスの価値転換を目指す。

DX人材育成の拠点となるMicrosoft Base Ritsumeikan

 立命館 総長の仲谷善雄氏は、「AIを中心とした先端技術の急速な展開により、大学の教育やキャンパスの形は大きく変化する転換の時期を迎えている。立命館はこうした変化の先頭に立ち、学生たちのクリエーティブな発想をはぐくみ、多様なプレイヤーとの共同によるタブーなき挑戦を後押しする、新たな学びの場の創造を目指している」と話す。

 その上で、日本マイクロソフトとの連携について仲谷氏は、「未来社会の創造に向けて同様の問題意識と志を持つ日本マイクロソフトとともに、日本の教育と社会に対して新しい価値を提供していきたい」と述べている。

立命館 総長 仲谷善雄氏

 今回の連携協定における具体的な取り組みは、「DX人材育成」「スタートアップ創成支援」「新たな学びの創造」の3点だ。

 DX人材育成に向けた取り組みの中心となるのが、立命館が大阪いばらきキャンパスに開設するMBRだ。日本マイクロソフトのテクノロジーとノウハウを活用することで、MBRを最先端テクノロジーと学問を融合した学びと交流の場とする。MBRでは、DX人材育成プログラムや、クラウド技術を活用した事例に関するセミナー、交流イベントなどを実施するほか、ICTやクラウド技術を用いた社会課題解決プロジェクトを立ち上げる。MBRは学生や教職員のみならず、地域、自治体、企業にも開放し、オープンな場として広く活用されることを目指す。

 スタートアップ創成支援もMBRを拠点として実施し、立命館がこれまで推進してきたスタートアップの人材育成をさらに加速する。マイクロソフトがグローバル展開するスタートアップ支援プログラム「Microsoft for Startups」では、クラウドサービスやツールを無償で提供しており、同プログラムと組み合わせることで立命館のスタートアップ支援を拡充する。

スタートアップ創生支援について

 新たな学びの創造に向けては、「Azure OpenAI Service」などを活用し、立命館独自の生成AI「R-AI(仮称)」を開発する。ChatGPTをベースとした一般的な生成AIでは、情報の精度やセキュリティに懸念が残るが、R-AIでは一般には公開していない情報を含め、立命館の最新情報を活用、閉鎖された環境で運用することで内部情報が外部に流出しないようにするという。

 また、時代に即した最先端の知識や技術が習得できるよう、学生向けと社会人向けにカリキュラムを開発するほか、メタバースなどの先端技術を活用したコミュニケーションの実証実験や、XR(クロスリアリティー)技術による仮想空間を活用した教育と研究を実践する。

新たな学びの創造に向け「R-AI」を開発

 日本マイクロソフト 執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長の中井陽子氏は、「日本マイクロソフトとしては、教育機関として初めて設立するMicrosoft Baseをテクノロジー面で支援するほか、Microsoft for Startupsを通じてスタートアップ支援にも貢献する。また、生成AIやメタバースなど新しいテクノロジーの利活用や、カリキュラムの開発支援、産学連携の推進に貢献していきたい」と、今回の連携における同社の役割を語った。

日本マイクロソフト 執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長 中井陽子氏
握手を交わす立命館の仲谷氏(左)と、日本マイクロソフトの中井氏(右)