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国内クライアント仮想化関連市場、2023年の市場規模は基本シナリオで2.7%増予想~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は6日、2022年の調査実績を基にした2023年~2027年の国内クライアント仮想化関連市場規模についての予測を発表した。予測では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、経済、社会、ICT市場全体が影響を受けると考え、Baseline(基本シナリオ)、Optimistic(楽観シナリオ)、Pessimistic(悲観シナリオ)の3つの予測シナリオを作成している。

 IDC Japanでは、国内クライアント仮想化市場をシンクライアント市場、クライアント仮想化ソフトウェア市場、クライアント仮想化ソリューション市場の3つの市場に分類している。このうち、クライアント仮想化ソリューション市場は、Baseline(基本シナリオ)では、2023年はプラス成長(2.7%)となり、2024年以降もハイブリッドワークによって堅調に推移する予測している。この場合、2019年(COVID-19の感染拡大前)の水準に戻るのは、国内経済/ICT市場の回復と同時期の2027年以降とみている。

 2023年も、前年に引き続き、GDPおよびIT投資が共に前年比プラス成長を堅持するため、クライアント仮想化市場も投資と需要が緩やかに復調すると予測。ハイブリッドワークの増加に伴い、情報漏えい対策を確保し、安心安全なエンドポイント環境を整備する施策のひとつとして、クライアント仮想化ソリューション全般の需要が拡大すると分析している。

 特に、DaaS(Desktop as a Service)、モバイル仮想化ソリューションを中心に市場が拡大すると予測しており、ユーザー企業のITリテラシーやエンドポイント環境の成熟度を把握し、クライアント仮想化ジャーニーをベースに、その企業に適合したハイブリッドソリューションを創造することが、生産性向上、業務効率化へつながるとしている。

 Optimistic(楽観シナリオ)では、市場は2023年に3.5%成長に回復すると共に、経済やICT市場全体が正常化し、2026年には2019年の水準まで戻り、その後はリモートワーク/在宅勤務の大幅な利用者数/企業数の増加が見込まれ、市場全体も成長が継続されると予測している。

 一方、Pessimistic(悲観シナリオ)では、2023年、2024年ともマイナス成長(それぞれ-4.0%、-2.0%)で、プラス成長に転じるのは2025年以降となり、世界/国内経済共に停滞することから、社会そのもののあり方が大きく変容し、クライアント仮想化市場全体もその影響を受けると考えられると予測している。

 IDCでは、クライアント仮想化のランドスケープをベースに、ユーザー企業の個社ごとの戦略を構想することが重要だと指摘。クライアント仮想化のランドスケープとは、テクノロジーの変化、使い方の多様化、外部要因、エクスペリエンス向上、4つのワーク(ワークスタイル、ワークプレイス、ワークスペース、ワークソース)、目指すべき姿、ネクストノーマル(The Next Normal:次なる常態)時代の最優先課題で構成されるフレームワークで、ユーザー企業のエンドポイント環境に照らし合わせながら、全体像を俯瞰することで、今後のエンドユーザーコンピューティング戦略構想を支援することにつながるとしている。

 IDC Japan Infrastructure & Devices シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「2023年は、ハイブリッドワーク元年である。COVID-19の世界的大流行(パンデミック)を経験しリモートワークのメリットとデメリットを学んだ。この経験を生かし、リモートおよびリアル(対面)をハイブリッドに組み合わせて、業務の効率化および生産性の向上と新規ビジネスの創造に取り組むことが求められている。このようなハイブリッドワークにおいてクライアント仮想化は、その特性上、有効な施策の一つになる」と述べている。

国内クライアント仮想化ソリューション市場 COVID-19 シナリオ(Baseline/Optimistic/Pessimistic)別売上額予測/前年比成長率、2022年~2027年(出典:IDC Japan)