ニュース

2019年の国内クライアント仮想化市場は前年比53.6%増の大幅成長、IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は9日、国内クライアント仮想化市場について、国内シンクライアント専用端末市場、国内クライアント仮想化ソリューション(オンプレミス)市場、国内クライアント仮想化サービス(DaaS:esktop as a Service)市場の、それぞれの主要ベンダーの競合状況を分析し、その結果を発表した。

 国内シンクライアント専用端末市場全体の2019年の出荷台数は、総計37万4107台、前年比53.6%増と大きくプラス成長に転じたと推計。金融、通信、情報サービス、製造で大型案件があったことから、IDC Japanが2008年から当該市場を調査開始して以来、年間当たり最高出荷台数を記録したとしている。

 ベンダー別では、日本HPが1位を獲得、2位は富士通、3位はデル、4位はAtrust、5位はNECとなった。フォームファクター別では、全体の約4割をモバイルシンクライアントが占め、ここ数年、同様の傾向を示しているという。

 2019年の国内クライアント仮想化ソリューション(オンプレミス)市場売上額は7026億円、前年比11.8%増で、ベンダー別では、上位から日立製作所、富士通、NEC、日本ヒューレット・パッカード、NTTデータ、日本IBM、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の順となった。日立製作所は金融、自治体の大型案件獲得により、初めて1位を獲得した。

 2019年の国内クライアント仮想化サービス(DaaS)市場売上額は789億円、前年比16.6%増で、ベンダー別では、上位からNTTデータ、富士通、日鉄ソリューションズ(NSSOL)、日立製作所、NEC、IIJの順となった。NTTデータは、金融、公共案件などを獲得することで大きく成長しており、同社の「BizXaaS Office」のもう一つの大きな柱であるBMWS(BXO Managed Workspace Security)のラインナップも完成し、展開を開始している。

 2019年のクライアント仮想化の導入は、2018年と同様に「働き方改革」「Windows 10への移行」などが契機となっており、その多くが更改案件で、スケールアウト、スケールアップなどクライアント仮想化システムへ再投資されていると分析。クライアント仮想化システムは、オンプレミスとDaaSが混在するハイブリッドな構成の案件もあって、製品構成や提供形態が複雑になっているため、投資額は増加傾向にあり、導入前のアセスメント/PoCを含めたコンサルティングの割合も高まっているとしている。

 IDC JapanのPC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである渋谷寛氏は、「2020年は、新しい生活様式、新しい働き方への移行が余儀なくされる中、安心安全なIT環境構築が急務となる。ゼロトラストモデルへの要望も高まるであろう。クライアント仮想化を革新していくことで、ゼロトラストモデルへの融合が期待されるであろう」と述べている。

国内クライアント仮想化ソリューション(オンプレミス)市場 ベンダー別 売上額シェア、2019年(出典:IDC Japan)