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オープンテキストとデロイト トーマツ、電子データ管理の業務変革に向け協業
2023年4月18日 06:15
オープンテキスト株式会社は17日、デロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ リスクアドバイザリー株式会社(以下、DTRA)と、契約書や請求書などの電子データ管理における業務変革とリスク管理態勢の高度化に向け協業すると発表した。
両社が協業に至った背景について、デロイト トーマツ グループ パートナーの佐藤肇氏は、電子帳簿保存法改正や消費税インボイスといった法制度によって、業務プロセスのデジタル化が加速していくことを挙げる。
「電子帳簿保存法の改正では、電子取引でのデータ保存が義務化されたが、2年間の猶予期間が設けられていた。その猶予期間が2023年末で終了し、来年からは完全に施行される。また、消費税インボイスの仕組みも、電子帳簿保存法と合わせて電子データで扱う場面が増え、電子インボイスに対応したソリューションも提供されつつある」と佐藤氏は説明、「今回両社で提供するソリューションは、業務プロセス全体のデジタル化を見据えたソリューションだ」と述べた。
今回の協業では、契約書や請求書などの電子データ管理において、内部統制を含む業務プロセスの最適化を実現するサービスを両社で包括的に提供する。具体的には、デロイト トーマツのアドバイザリーコンサルティングにより、変革の全体像やあるべき姿の整理から、業務プロセスの構築、システム導入までをエンドツーエンドで支援。その上で、リスク管理態勢の高度化といった守りのDXと、オペレーションの省力化やデータ利活用といった攻めのDXを実現する「One Data Platform」を提供する。
このOne Data Platformは、オープンテキストのエンタープライズコンテンツ管理ソリューション「OpenText Extended ECM」と、DTRAのAI-OCRソリューション「DeepICR」を連携したものとなる。オープンテキスト シニアパートナーマネージャーの廣瀬拓也氏は、「DXには潜在的な落とし穴がある。法規制に対応しようと部分最適化されたソリューションを採用し続けることで、システムがサイロ化されてしまうためだ。そこでわれわれは、全体最適ができるOne Data Platformを用意し、守りのDXはもちろん、攻めのDXも実現できる基盤を提供する」と話す。
OpenText Extended ECMは、メタデータを利用した社内文書の横断検索や、高度なアクセス権限の設定が可能なソリューション。コンプライアンスに準拠するため必要となる記録管理機能やリーガルホールド機能、証跡管理機能などが備わっているほか、きめ細かい権限管理や2段階アクセス制御、認証基盤との連携といったセキュリティ機能を提供する。また、メタデータ管理や文書承認ワークフローなどの機能でガバナンスを強化し、全文・ファセット検索、ワークスペース機能などでコラボレーションを促進する。
一方のDeep ICRは、DTRAが独自開発したAIモデルを活用し、画像解析AIでさまざまなビジネス文書のデータから記載された情報を全体的に取り出す機能を持つ。契約書や請求書などの内容を高精度でテキストに変換し、経理システムに自動入力して支払い処理まで自動化することも可能だ。
この2つのソリューションを連携することで、関連データをひもづけした電子データの管理が容易になるほか、バージョン管理などによって電子データの不正利用や改ざんといったリスクへの対策が可能になるという。
オープンテキスト 代表取締役社長の反町浩一郎氏は、「さまざまな顧客のニーズに応えるには、パートナーとの協業が不可欠だ。今回の協業では、当社が得意とするインテリジェントな情報管理と、DTRAの高精度なAI-OCRを組み合わせることで、日本の顧客のデジタル化における課題やリスク管理に貢献できると考えている」と述べた。