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IIJ、白井データセンターキャンパスの入退館手続きを自動化

ビットキーの「workhub」を採用し、受付の省人化を実現

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は4日、同社の白井データセンターキャンパスにおいて、従来オペレーターが対面で行っていた入館手続きを、オンラインでの本人確認と顔認証を組み合わせたシステムにより自動化し、2023年4月より運用開始すると発表した。

 入館者は、事前に入館情報(氏名、本人確認書類、顔写真など)を申請しておくことで、入退館時に本人確認や入館カードの発行・回収などの手続きを専用端末で行え、入退館受付時間の大幅な短縮と、受付の省人化が図れる。

 システム構築にあたっては、株式会社ビットキーの「workhub(ワークハブ)」を利用した。ビットキーによると、収容規模が1000ラックを超える大規模データセンターへのworkhubの導入は初になるという。

 IIJでは、白井データセンターキャンパスは「究極の自律データセンター」をコンセプトに、AIをはじめとする先端技術をデータセンターの運用現場で活用し、データセンターサービスの提供に関わる定常業務の自動化を推進することで、サービスの品質向上とオペレーターの負荷軽減の両立を目指してきたと説明。そうした中で、入退館の受付業務はオペレーターの定常業務の約一割を占め、朝などの特定の時間帯に入退館者が集中したり、サーバー増設などの作業がある場合には大勢での入館対応が発生したりするため、業務量の変動が大きく、人的リソースの配分が難しいという課題があったという。

 今回、オンラインでの本人確認と顔認証技術を活用して受付手続きを自動化することで、入館者にとって安全でスムーズな入退館方法を確立するとともに、入館者ひとりにかかる受付時間の短縮によって、受付業務の負荷軽減と安定化を実現し、オペレーターの受付対応業務の約7割を自動化した。また、今後のデータセンターの拡張を見据え、利用者数に応じて受付端末を柔軟に増設することも可能になったとしている。

 新入退館システムでは、入館予定者は、事前に専用サイトから認証に必要な情報(本人画像と運転免許証などの本人確認書類)を申請し、その後、オペレーターが書類を確認する。

 来訪当日は、受付に設置された専用端末に顔をかざし、事前に登録された顔情報と照合した上で、許可された訪問かを自動的に判断する。合わせて、体表面温度の計測、持ち込み物(カメラ付きパソコンなど)の確認を行う。手続き完了後、申請内容に即した権限が付与された入館カードが発行される。

 システムにより、受付時間や待ち時間が短縮され、今までよりスムーズに入館でき、障害対応などで緊急入館する場合にも作業開始までの時間短縮が見込まれる。また、従来は入館のたびに本人確認を実施してたが、一度事前登録をしておくと、次回入館時からは登録された顔情報との照合のみで完了できるようになる。

 受付時の本人確認を含め、各種手続きは端末を通して機械的な手順で行うため、入館者に対して均一にセキュリティ品質が担保された受付手続きを行える。入館受付時に顔認証を行うことで、従来同様になりすまし防止を図りつつ、入館手続きの時間を短縮。オペレーターと非対面で手続きを済ますことで、感染症のリスクも低減する。

 また、SaaSで提供されるビットキーのworkhubを新入退館システムの基盤として採用したことで、既存のさまざまな機器・システムとの連携、アカウントの共通化が可能な環境を実現。サービスポータルサイトや入退室管理システム、導入済みラック電子錠システムと連携させ、入館受付だけでなく、サーバー室入室、ラック作業まで対面対応を極力抑えられる。

 IIJでは今後、顧客宛ての宅配荷物を預かるロッカーとの連携など、自動受付システムの連携範囲を拡大していくとともに、同社の松江データセンターパークでの導入も検討していくとしている。