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日立、医薬品の効果や有害事象に影響を与えるバイオマーカーを探索するAI解析サービスを提供

Hitachi Digital Solution for Pharma/ヘルスケアデータ解析プラットフォーム「B3 Analytics」の概念図

 株式会社日立製作所(以下、日立)は27日、医薬品の効果や有害事象に影響を与える重要指標(バイオマーカー)を探索する、サブスクリプション型のAI解析サービス「Hitachi Digital Solution for Pharma/ヘルスケアデータ解析プラットフォーム『B3 Analytics』」を4月に提供開始すると発表した。価格は個別見積もり。

 B3 Analyticsは、医療機関や製薬会社における医療開発などで活用されるLumadaソリューションの一つで、2019年10月に提供開始した「Hitachi Digital Solution for Pharma/バイオマーカー探索サービス」の基盤技術として、日立が開発した独自の説明可能なAI「B3」の利用を、サブスクリプションサービスとして提供する。

 B3は、人体の遺伝子情報や電子カルテなどの医療データから、医薬品の効果に関連する因子を抽出し、それらの因子を用いて簡便な数式を組み立てることで、医薬品の効果を表す指標であるバイオマーカー候補を自動生成する。新たなバイオマーカー候補を短時間で高精度に検出でき、効果の高い医薬品の開発と、その開発期間の短縮に貢献する。

 サービスにより、顧客自身でB3を搭載した解析環境を操作し、解析実行から結果確認を繰り返し、試行錯誤しながら考察・検証が行える。月額のサブスクリプション型のため、使いたい時に使いたい分だけ利用できる(契約は最短3カ月から可能)。

 B3は、非線形な解析モデルをシンプルな線形モデルで表現することが可能なため、「AIがなぜその答えを出したのか」を人が解釈しやすく、医療や創薬の現場での意思決定に有効だと説明。医療領域では、症例数が少なく、かつ、データ項目の種類(次元数)が「数千~数十万」と膨大になる場合があるが、B3は独自の次元圧縮・過学習抑制の機構を組み込んでおり、小サンプル・高次元のデータでも精度を保った解析が可能としている。また、臨床現場において、病態生理が複雑な疾患、不均一性が高い疾患などに対する予測性能を高めるための、複数因子を組み合わせたバイオマーカー(マルチバイオマーカー)の探索にも対応する。

 日立では、サービスの活用により、顧客が管理・保有するデータを用いての解析を、コストを抑えてスピーディーに利用可能になると説明。また、大学や公的研究機関、自治体などを含めた、さまざまな研究者が利用しやすくなることで、パンデミックの際の迅速な新薬開発・治療につながることも期待できるとしている。

 日立は、サービスを医療・医薬分野向けに提供することにより、個別化医療の実現および医療費の適正化などへの貢献を目指すとともに、将来的にはサービスを診断・予防など創薬以外の領域にも適用すべく、機能を拡充する予定としている。