第一生命と日立、医療ビッグデータ活用の共同研究を開始

　第一生命保険株式会社（以下、第一生命）と株式会社日立製作所（以下、日立）は6日、「医療ビッグデータ」活用の共同研究を開始すると発表した。両社の持つ保険・医療などの分野における技術や、ノウハウ・知見を組み合わせ、医療ビッグデータを生命保険事業に活用するための共同研究を行うという。

　第一生命では生命保険事業を通じて、生命保険の引き受け・支払いに関するノウハウの高度化や、多くの医学的知見の蓄積・活用を進めている。また、これまで蓄積してきた約1000万人の医療ビッグデータを解析することにより、新しい保険商品の開発や、生命保険の引き受け範囲の拡大などに取り組んでいるとのこと。

　一方の日立では、AIなどの先端的なITを活用し新たな金融サービスを提供する金融ITイノベーション事業、あるいはヘルスケア事業を注力分野として位置付けており、実証実験などさまざまな取り組みを行っているという。

　今回両社では、それぞれの強みを生かして以下のような共同研究を実施する。

・一人ひとりの健診結果と健診受診後の入院・手術などとの関係を分析し、将来の疾病罹患の予測に加え、その重症度や続発症、併発症などの予後の状況も予測するモデルの構築

・第一生命が持つ保険の引き受けに関する医学的知見・ノウハウと、日立が有するデータサイエンススキル・ノウハウの融合による、両社における医療データ・サイエンティストの育成・強化

　また第一生命ではこの共同研究を受け、保険アンダーライティング機能（保険の引き受け・支払い査定機能）の高度化などを目指し、取り組みを進めるとした。具体的には、将来の疾病罹患を予測するだけでなく、その重症度や予後まで予測することで、一人ひとりのリスクをより詳細に把握し、今までは持病や病歴などを理由に保険へ加入できなかった人でも加入が可能になるような仕組みを検討するという。

　あわせて、長期にわたって蓄積したデータから、介護や高額な医療費を必要とする疾患につながりやすい因子を解析し、疾病予防や健康増進に資する情報提供や、新たな商品・サービスなどの開発を検討。さらに、医療ビッグデータの高度な解析に向けて、AIなどの最新統計技術を研究するとしている。