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キンドリル、デザイン主導の共同開発モデル「Kyndryl Vital」やコンサル主導によるテクノロジーサービスを体系化した「Kyndryl Consult」を解説
2023年1月12日 06:15
キンドリルジャパン株式会社は11日、顧客やパートナーとのイノベーションを生み出すための共創体験を行う「Kyndryl Vital」と、戦略立案や設計から構築や導入といった実装までを行う「Kyndryl Consult」について説明した。
Kyndryl VitalとKyndryl Consultは、同社が提供しているデジタル統合プラットフォーム「Kyndryl Bridge」とともに、3つの軸に位置づけているもの。これまで提供してきたサービスなどをあらためて体系化し、モダナイズした仕組みに適用できるようにしたという。
キンドリルジャパン 専務執行役員 チーフ・ストラテジー・オフィサー ストラテジック・サービス本部の工藤晶氏は、「キンドリルでは、『ネットワークとエッジ』、『セキュリティとレジリエンス』、『クラウド』、『アプリケーション/データ/AI』、『メインフレーム』、『デジタルワークプレースサービス』の6つの技術領域に対して、共創環境のKyndryl Vital、実装を行うためのコンサルティングであるKyndryl Consult、オープン統合プラットフォームのKyndryl Bridgeにより、お客さまに価値を提供していくことになる」とコメント。
その上で、「Kyndryl Vitalが共創、実験・試行、体験・教育の場を提供し、新たな技術の採用を支援。それをもとに、Kyndryl Consultが、戦略やアーキテクチャ設計、構築、導入、改善支援まで、安心安全をベースにした地に足がついたアドバイザリーサービスを提供する。さらに、IBM時代から30年以上に渡って提供してきたマネージドサービスを提供。このマネージドサービスをデジタル化したものが、Kyndryl Bridgeになる。これにより、デジタルサービスポータルや、データレイク、AI、自動化サービスなどを提供していくことになる。Vital、Consult、Bridgeがスパイラルで回ることにより、お客さまのビジネスを加速し、より高い価値を提供していく。今回の体系化で終わりではなく、今後も進化を遂げていくことになる」などと述べた。
デザイン主導の共同開発モデル「Kyndryl Vital」
Kyndryl Vitalは、デザイン主導の共同開発モデルと位置づけられており、ビジネスニーズ、テクノロジー、ヒューマンエクスペリエンスをもとに、顧客の将来構想を具現化した戦略を定義。ビジネス上の課題を解決するための共創体験を提供するという。なおKyndryl Vitalの名称は、2022年9月からグローバルで使用しているが、このなかに含まれるサービスは一昨年から提供。日本が最も先行しているとした。
キンドリルジャパン ストラテジック・サービス本部キンドリルバイタル事業部長の河野正治氏は、「ITインフラにおいても、未来志向型のアプローチを行い、スピード重視の変革の仕組みや文化を取り入れたビジネスを実行。ペルソナに対する深い理解に基づいたデザイン思考により、現場の真の課題に向き合い、解決策を導くアプローチを人間中心で行う。また、フューチャーバックキャスティングの手法により、望ましい未来を描き、いまやるべきアクションを定義し、現状と未来を見据えたIT戦略の策定により、将来構想の解像度を高める支援を行う。さらに、キンドリルになって、幅広いアライアンスを組むことができるようになった利点を生かし、新たなテクノロジーを実際に体験できる場を用意。ソリューション選定の効果を高める支援を行うことができる」などとした。
「未来共創」、「ソリューションデモ・PoC」、「アジャイル」、「自動化/SRE(Site Reliability Engineering)」の4つの体験プログラムを提供。ビジョンの策定から最先端技術の体験、プロジェクト変革のためのアジャイルと自動化の研修プログラムにより、「Kyndryl Vitalは、お客さまとキンドリルの専門家が共創し、対話と体験、実験、試行を通じて、成長に必要不可欠な新たな事業の創出を促す場になる」とする。
各プログラムは半日から2日間の無償体験と、それ以降の有償支援で構成。「お客さまをヒアリングし、ニーズの高い相談事項からプログラム化し、14メニューを用意した」という。
未来共創のカテゴリーに用意された「Future Vision Workshop」では、Future Casting、BMC(Business Model Canvas)、Lean Canvasなどを用いたビジョン策定支援を通じて、物事を考える視点を未来に置き、実現したい世界を描いて、現在を振り返ることで、いま起こしたいアクションを決められるという。例えば、新たな視点でIT戦略を見直したり、Web3.0の世界に向けて目指すべき方向性を検討したりする。
アジャイルのカテゴリーの「Agile Experience Workshop」では、アジャイル開発手法のひとつであるスクラムと、従来のウォーターフォール型開発手法の違いを学習。実際にスクラムの働き方を体験する実践型ワークショップを提供する。「大規模アジャイルの実践から生まれた現場で使える知識、経験が短期間に得られ、新しい変革の文化を現場に吹き込むことができる」という。
またAutomation Academiaでは、AnsibleとGitによるDevOpsを実践。課題を通じて体得する学術的なプログラムとして提供する。モダナイズされたインフラ運用手法であるIaC (Infrastructure as Code)を、実践的な研修と研究活動を通じて学ぶことで、組織的スキルを形成し、現場の課題をベースに、独自の実践アセットを生み出すスキルを培うという。
さらにソリューションデモとして、アプリ監視やAIOpsによる運用高度化の体験プログラムである「APM(Application Performance Management) Demo」を紹介した。このプログラムでは、共創のための実験場であるKyndryl Labを活用するほか、検証対象システムを決定したあとに、APMによる効果をクイックに検証するAPM PoCも提供する。「幅広いアライアンスを行い、多様な技術者を擁するキンドリルだからこそ提供できるアプローチだと自負している」と語った。
さらに、「成功体験だけでなく、失敗経験を蓄積することで、お客さまが、新たなテクノロジーの活用が必要になったタイミングで、スピード感と安心感を持って支援できる準備をしている。一歩先の未来に向けた挑戦を支援できる」とも述べている。
コンサルティング主導によるテクノロジーサービスを体系化した「Kyndryl Consult」
一方のKyndryl Consultは、コンサルティング主導によるテクノロジーサービスを、体系化して提供するものだ。30年以上に渡るミッションクリティカルシステムの経験、3万1000人以上のベンダー認定資格者、3200以上の特許を持つ高い専門技術を活用。構想、設計、実装、発展による継続的なモダナイズのライフサイクルにより、顧客のデジタルトランスフォーメーションの推進を支援するという。キンドリルが取り組む6つの技術領域に対して、重点サービスを提供するほか、ストラテジー&インテグレーションとして、IT戦略とモダンIT運用モデルなどを提供する。
具体的には、クラウド戦略の策定や新技術検証支援、可視化ツールの導入支援などを通じてクラウドネイティブの運用体制を確立するための「クラウドCoE体制構築」、SREに関わる研修からアセスメント、実装計画策定、実装支援までを提供する「SRE運用モデルへの変革」、アーキテクチャ基本方針とグランドデザイン策定、製品選定と導入に関する概算見積もりの算出などを行う「サイバーセキュリティロードマップ策定支援」などがある。
キンドリルジャパン ストラテジック・サービス本部コンサルティング&ソリューションデザイン事業部長の志賀徹氏は、「これまでのITサービスの購買は、大規模な総入れ替えや老朽化対応、単純なリフト&シフトによるクラウド移行が中心であったが、これからはビジネス成果の観点から優先順位を決め、一緒になって反復的に継続改善サイクルなどを実現することが重視され、同時にデジタル変革のパートナーとして役割が求められていくだろう。それに向けて、Kyndryl Consultは、コンサルティング主導のテクノロジーサービスを提供していきたい」と述べた。
デジタル統合プラットフォーム「Kyndryl Bridge」
また会見では、デジタル統合プラットフォーム「Kyndryl Bridge」についても説明した。キンドリルジャパンの工藤専務執行役員は、「キンドリルがマネージドサービスを提供する上で根幹となるプラットフォームがKyndryl Bridgeである。新たなテクノロジーや新たな情報を提供し、お客さまの技術運用の高度化を図っていくことになる。すでにグローバルではパイロットカスタマが採用しており、機能の一部である統合AIによる自動化は、日本でも多くの企業が利用している。今後、情報の見える化が進み、エコシステムパートナーとの連動が進むことで、より簡単にインフラの管理が行えるようになる」と述べた。
Kyndryl Bridgeでは、インベントリーや課金状況をダッシュボードで参照したり、稼働状況をヘルスインジケーターで確認したりでき、課題に対しては、グローバルナレッジを活用した対応も可能になるという。また、グローバルで集約した膨大なデータを活用して、最適な推奨アクションを提示。デジタルカタログから、最新のテクノロジーや最適なソリューションを選択できるようにしている。