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国内DX推進企業のデータ利活用動向、財務や人材、位置情報などがデータ利活用の効果が高い傾向~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は16日、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している企業でのデータ利活用に関する「2022年 データ利活用統括者調査」の調査結果を発表した。同調査は、国内でDXを目的としたデータ利活用を進めている企業303社を対象に、データ利活用の現状と課題やデータ流通の利用状況ついて調査した。

 調査では、DXを目的としたデータ利活用を進める中で、データ利活用の効果が高いデータの種類が明らかになったとしている。自社で取得したデータと外部組織から取得/購入したデータに分けて尋ねているが、いずれも財務や人材に関するデータが上位に挙がっている。また、外部から入手したデータでは、人やモノの位置情報/GPSデータも有用性が高いデータの一つであることが分かったとしている。

 データ利活用における課題では、「人材/スキル」「組織構造」「経営方針/企業文化」「技術/データガバナンス」「業務プロセス」の5つの観点で課題を分析したところ、いずれの観点においても、回答者にある程度共通する課題が見つかったと説明。「人材/スキル」では、データの運用基盤に関するスキル不足を、およそ4分の1の回答者が挙げている。また、「経営方針/企業文化」ではリーダーシップの欠如が同様に約24%、「組織構造」ではデータ利活用現場での理解不足を約3割の回答者が課題と考えている。

 調査では、データを有償または無償で、販売/提供あるいは購入/取得するデータ流通の利用状況についても調査している。データ流通に関する取り組みをすでに実施している回答者は、購入/取得、販売/提供別のいずれも10~15%にとどまっている。一方で、計画進行中を含めると約25%にまで広がり、導入検討中を加えると40~50%に達している。このようなデータ流通の現状において、産業分野別では製造業がデータ流通を積極的に活用しており、またデータ利活用が進んでいる企業もデータ流通をすでに活用していることが明らかになったとしている。

 今後データ流通を通じて得たいデータ種類については、人材関連やWeb/SNS、人やモノの位置情報/GPSデータに関する期待が大きく、現在データ利活用で効果が高いと考えているデータと一致しています。また、工場/プラントデータに対する期待も高く、ここでもデータ流通の活用に積極的な製造業の姿勢が見て取れると分析している。

 IDC Japan株式会社 コミュニケーションズ/ITサービスのグループディレクターである草野賢一氏は、「データ流通の利用を拡大するためには、企業のデータ利活用をより高度なレベルに引き上げることが重要である。高度なデータ利活用をしている企業ほど多様なデータソースを用いていることが明らかになっているからである。また、データ流通関連サービスの認知度も総じて低く、データ流通にかかわるベンダーや事業者においては、データ流通サービスが提供する価値を認知してもらう活動が不可欠である」と述べている。

データ利活用で効果が高いデータ種類 Q. 利活用しているデータの種類について、データ利活用の効果が高いと考えられるものを教えてください。(出典:IDC Japan)