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日立、ハイブリッドクラウド基盤「EverFlex」にIaaSと運用サービスを拡充

 株式会社日立製作所(以下、日立)は19日、基幹システムのモダナイゼーション加速に向けたハイブリッドクラウド事業の強化として、ハイブリッドクラウドソリューション「EverFlex from Hitachi(以下、EverFlex)」のサービスラインアップにIaaSを追加すると発表した。

 日立では、2021年10月にEverFlexを提供開始し、ミッションクリティカルな基幹システムを支えてきた日立の技術やノウハウをもとに、顧客の重要なデータを保護しながら、安心・安全なクラウド活用を可能にするハイブリッドクラウドの実現に向け、さまざまなデータ基盤サービスを展開してきた。

 さらに、ハイブリッドクラウドにおける業務システムの安定稼働と可搬性を向上するため、データ基盤サービスに、高い信頼性を備え、迅速かつ柔軟に利用できるIaaSを追加し、2023年2月28日に提供開始すると説明。サービスを利用することで、データの高い機密性を確保しつつ、業務システムでプライベートクラウドとパブリッククラウドを適材適所で使い分けながら、使用量に応じた課金で利用でき、導入・運用のコストを適正化しながら、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるとしている。

EverFlex from Hitachiにおける強化ポイント

 業務システムの実行基盤であるIaaSを、データ基盤サービスのラインアップに追加し、提供することで、従来、機密性などの懸念から基幹システムで稼働させてきた業務アプリケーションの一部を、パブリッククラウドも活用しながら安心・安全に実行することが可能となり、データ分析や機械学習など豊富なパブリッククラウドサービスとの連携を促進できる。

 顧客は、事前検証済みの複数の推奨構成の中から、用途に応じた構成を選択するだけで、ハイブリッドクラウド環境の迅速かつ容易な導入が可能となる。事業環境の変化に合わせて容易にリソースを拡張・削減でき、従量課金型で利用できるため、大規模なシステム再構築による投資リスクを避け、導入・運用コストの低減も図れる。

 さらに、万が一の障害発生時や性能問題などが発生した場合、日立が窓口となってハイブリッドクラウド環境のサポートをワンストップで対応し、クラウド事業者やソフトウェアベンダーなどのパートナーとも連携しながら迅速に問題を解決することで、顧客の運用負荷を軽減する。

 サービス提供に先駆けて、業務の継続性を高める故障予兆通知や、カーボンニュートラル達成に向けたCO2排出量の見える化など、経営課題解決に貢献するサービスを10月31日に販売開始するとともに、日立のクラウドストレージの先行体験が可能なEarly Adopter Programの提供を開始した。プログラムの利用により、顧客は業務システムにクラウドストレージを組み合わせた価値を創出するプロセスをいち早く実施でき、ハイブリッドクラウドの本格導入に向けた検討期間の短縮が可能になる。

 運用サービスでは、IaaSの可用性をさらに高める「安心・安全プラン」を提供する。日立がハードウェア開発で蓄積してきたノウハウを活用し、故障予兆を高精度に検知するとともに、メンテナンスを適切なタイミングで提案することで、IaaSの可用性の向上に貢献する。また、問題が発生した際には、日立のエンジニアが蓄積したログ情報と過去の障害対応実績から迅速に原因を究明し、IaaSの停止時間を極小化する。今後は、AIを活用して故障予兆検知の精度を向上するなど、可用性のさらなる向上を支援していくとしている。

 また、脱炭素化の推進に向けて、専用ポータルのダッシュボードで、IT機器やシステム単位でのCO2排出量を見える化し、脱炭素化推進を支援する「サステナビリティプラン」も、運用サービスとして提供する。各システムを構成するストレージ、サーバー、スイッチの稼働状況や消費電力をIT機器単位で確認できるため、機器ごとのCO2排出量削減計画の策定や実行状況の把握に貢献する。さらに今後は、見える化した情報を活用し、情報開示要求に伴う環境報告レポートの作成支援や、CO2排出量削減支援なども計画する。

 日立では今後、EverFlexのデータ基盤サービスにおいて、データベースやコンテナ環境を従量課金型で利用できるサービスを拡充するとともに、機密性の高いデータを扱うプライベートクラウドと、迅速性・柔軟性に優れたパブリッククラウドの一元的な運用の自動化やセキュリティ対策を包括的に支援するサービスを展開するなど、ハイブリッドクラウド事業を継続的に強化すると説明。これらにより、基幹システムのモダナイゼーションを進め、新事業の迅速な立ち上げなどによる企業のビジネス成長に貢献するとしている。