ニュース

Coltテクノロジーサービス、法人向けモバイル通信サービス「IP Access 4G/5G Wireless Access」を販売開始

 Coltテクノロジーサービスは10月4日から、「Colt IP Access 4G/5G Wireless Access」の販売を開始した。同社は、専用線、イーサネット、IP、電話、ネットワークセキュリティのソリューションを法人向けに提供する通信事業者で、ロンドンに本社を置くColt Technology Servicesのアジアにおける本社。インターネット接続として光ファイバーの「Colt IP Access」を提供していたが、モバイル通信のサービスを追加する。

企業のモバイル通信ニーズが高まっている

 企業において、2つのトランスフォーメーションが進んでいる。ひとつは、ネットワークトランスフォーメーションである。

 従来の企業ネットワークでは、本社や支社、店舗や工場などからインターネット上のクラウドサービスに接続する場合、WAN回線でデータセンターに接続し、そこでネットワーク制御やセキュリティ機能を付与したうえで、インターネットに出て行くという構成になっていた。しかし、クラウドの利用が増え、わざわざデータセンターを通さずに、直接インターネットやクラウドに接続するSD-WANやSASE(Secure Access Service Edge)への移行を検討する企業が増えている。コロナ禍でリモートワークが推進されたことも、これに拍車をかけた。

企業ネットワークのトランスフォーメーション

 その流れの中で、モバイル通信は技術革新によって広帯域化や低遅延化したことを背景に、企業における通信回線の新たな選択肢になっている。特に、工事現場のように、光ファイバーの敷設が難しい場合や、工事期間中だけしか使わない場合などは、モバイル通信を使うメリットが大きい。

 さらに、有線通信とモバイル通信を組み合わせて、冗長構成を取りたいというケースも多いようだ。光ファイバーで冗長構成を組もうとすると、使用できるファイバーはNTTに限定されてしまうケースがく、同じファイバーを使ったのでは完璧な冗長とは言えない。しかし、モバイル回線をバックアップ回線とすることで、物理的に回線を分けられる。

 もうひとつのトランスフォーメーションは、デジタルトランスフォーメーション(DX)とクラウドシフトだ。

 例えば、DXで以下のような取り組みを行う場合などは、光ファイバーの設置が難しいケースがある。

  • 工場の生産ラインのデータを収集してクラウドで分析し、生産プロセスを最適化、画像認識とAIで品質検査の自動化
  • 店舗でPOSデータやデジタルサイネージのデータの送受信だけでなく、人流計測や需要予測

 「老舗百貨店などは、物理的に光ファイバーの配線ができない場合もあるし、可能だったとしても景観上の理由でやりたくないとか、営業時間の関係で配線工事ができないということがよくある」とColtテクノロジーサービス 田中雄作氏(IP Access担当プロダクト・マネージャー)は言う。

デジタルトランスフォーメーションとクラウドシフト

既存のモバイル通信の課題

 モバイル通信へのニーズは高まっているが、従来のモバイル通信サービスは企業が求める要件を満たしていないことが多い。例えばこの夏、モバイル通信キャリアの障害でさまざまなビジネスが影響を受けたニュースは記憶に新しい。

 一般的に、既存のモバイル通信サービスには以下のような課題があると田中氏は言う。

  • ベストエフォートのため通信が安定しない時間帯がある
  • 従量課金では月々の請求額が不明
  • データ量が上限に到達すると速度制限がかかる(100kbps~200kbps程度)
  • モバイルキャリア障害発生時は通信断
  • 24時間365日の運用監視なし
  • ルータ故障時の現地故障交換対応なし

Colt IP Access 4G/5G Wireless Accessサービス概要

 以上のようなギャップを埋めるために、Colt IP Access 4G/5G Wireless Accessでは、「データ無制限・定額料金」と「データ制限あり・定額料金」の、2つのプランを提供する。何かの理由で大量のデータを使ってしまった場合も、「データ無制限・定額料金」の場合はその月に高額請求されることはなく、帯域制限がかかることもない。

 さらに、帯域保証という点も大きな特徴だ。契約帯域としては2メガから300メガまであるが、その50%以上を保証する。宅内にモバイルルータを設置する際には、テスト用トラフィックを流してリモートでパフォーマンスを確認し、よいパフォーマンスが出そうなキャリアを選択。もし契約帯域の50%を下回った場合は、障害という判定になる。設置するモバイルルータにはデフォルトでSIMを2枚装着し、プライマリの通信キャリアに障害があった場合は、自動でバックアップのキャリアに切り替わる。

 その他、24時間365日の運用監視や、ルータ故障時に現地交換してくれるなど、企業利用に必要なサービスを提供する。

Colt IP Access 4G/5G Wireless Accessサービス概要

 Coltテクノロジーサービスでは、光ファイバーのインターネット回線とモバイル通信をワンストップで提供できるようになった。通信障害などの場合の問い合わせ先が統一されるのは、企業にとってありがたい。

 また、Colt IP Access 4G/5G Wireless Accessはグローバルで提供するサービスであり、約90カ国(アジア、欧州、北米、南米、中東、アフリカの一部)で、ほぼ同一仕様のサービス提供が可能という。海外拠点のルータの故障も、日本のColtに相談すればいいとのことだ。グローバルなカバレッジという意味では、固定回線や提携キャリアの回線を含めたネットワークは、現時点で148カ国においてサービスを提供している。

 「Coltが提供するモバイルネットワークの回線のみならず、提携パートナーが提供する回線も組み合わせたソリューションをグローバルで提供できるのが、Coltの特徴であり強み」と田中氏は言う。