ニュース

ネットワン、“パーパス経営”に向けた取り組みや今後のビジネス展開など説明

デジタルガバメント、Society5.0を実現する社会基盤などを注力領域に

 ネットワンシステムズ株式会社(ネットワン)は5日、2022年度の事業戦略説明会を開催した。説明会では、2022年~2024年度の新中期経営計画とパーパス経営に向けた取り組み状況、今後の事業戦略および同社のサステナビリティ方針などについて発表している。

 まず、2022年度からスタートした新中期経営計画について、ネットワンシステムズ 代表取締役 社長執行役員の竹下隆史氏は、「ネットワークの重要性がさらに増大する市場環境において、前中期経営計画の機会・課題を踏まえ、『世界最高水準のネットワーク技術力』『目利き力』『インテグレーション力』といった当社独自の強みを生かした中期経営計画を策定した。最新のネットワーク技術によって、顧客の課題からICTで社会課題を解決できる唯一の企業を目指す。また、過去の不祥事を二度と繰り返さないための『企業文化改革』を重要施策と位置付け、ガバナンス・企業文化の専門組織を取締役会の諮問委員会として設置した。これにより、企業文化改革と再発防止策の履行浸透のさらなる推進を図る」との方針を述べた。

ネットワンシステムズ 代表取締役 社長執行役員の竹下隆史氏

 パーパス経営に向けた取り組みについては、「今回、『人とネットワークの持つ可能性を解き放ち、伝統と革新で、豊かな未来を創る』を新たなパーパスとして設定。ICTの利活用を通じ、社会課題の解決に取り組むために、パーパス(志、大義)を軸に、Mission(使命)、Vision(目標、Goals)、Values(価値観)、そしてWAY(行動指針)からなる理念体系を策定した。この理念体系をパーパス経営の中核として、社員一人ひとりに浸透させるべく、社内では企画・発信・対話・イベント・分析のサイクルを回している」と説明。

パーパス経営に向けた理念体系

 さらに、2023年度にオープンする新ワークプレイス「netone valley」にも触れ、「社員一人ひとりが新たな価値を創造できる場として、『netone valley』をオープンする。『netone valley』は単なるオフィスではなく、新生ネットワンの象徴として、『ヒト・コト・モノ』のつながりによるイノベーションの創発や、顧客/パートナー/社員の成長を促すと共に、Work×Lifeを心地よく融合させる場も提供していく。また、地域社会との交流/貢献の役割も担っていく」とコンセプトを紹介した。

新ワークプレイス「netone valley」の完成予定パース図

 次に、ネットワンシステムズ CTO 常務執行役員の篠浦文彦氏が、2022年度の事業戦略について説明した。「今や、すべての産業の根幹となったデジタル化は、社会課題解決の中心となっており、あらゆる企業でネットワークインフラの強化が必要不可欠となっている。その中で当社は、社会課題の解決に貢献するため、既存事業に隣接する『デジタルガバメント』『Society5.0を実現する社会基盤』『スマートマニュファクチャリング』の3つの注力領域で事業成長を加速させていく」との方針を打ち出した。

ネットワンシステムズ CTO 常務執行役員の篠浦文彦氏

 具体的には、「デジタルガバメント」では、自治体・地方公共団体を対象に、情報セキュリティクラウドによる強靭化、地域社会のICTインフラ高度化、DXによる地域課題解決・地方活性化を図る。「Society5.0を実現する社会基盤」では、通信/社会インフラ・民間・医療を対象に、通信インフラの高度化、電力・ガス・鉄道インフラの高度化、運用高度化による社会基盤の安定化を図る。「スマートマニュファクチャリング」では、製造業(自動車、電機、機械など)を対象に、データ利活用による事業価値向上、事業領域のセキュリティ強化、脱炭素経営に向けた見える化を支援していく。

2022年度の事業戦略

 また、中長期的なサービス強化の方向性としては、「サービスの高度化により、事業貢献(社会課題解決)に寄与する先進事例を創出する。その先進事例を共通化・自動化することで、効率的なサービス展開およびストック型ビジネスを拡大していく」との考えを示した。

中長期的なサービス強化の方向性

 なお、ネットワンシステムズ CSO 常務執行役員の辻晃治氏は、2022年度から明確に掲げたサステナビリティ方針について、「当社グループでは、『人とネットワークの持つ可能性を解き放ち、伝統と革新で、豊かな未来を創る』を存在意義として、『顧客の成功』『社員の幸福』『パートナーとの共創関係の構築』『株主価値の向上』『自然環境の保全』に事業を通じて貢献することが、企業価値の向上につながると考えている。『優れたネットワーク技術』『マルチベンダー対応』『顧客との共創』から生まれるICTの目利き力と知見を磨き、社会価値と経済価値を創出するサービスを提供することで、持続可能な社会への貢献と当社の持続的成長を両立していく」と紹介。

ネットワンシステムズ CSO 常務執行役員の辻晃治氏

 この方針をもとに、ネットワングループが取り組む4つのマテリアリティ(重要課題)として、「安心・安全な高度情報社会の実現」「プロフェッショナル人財の活躍」「脱炭素社会への貢献」「持続可能な成長を実現するガバナンス体制の維持強化」を挙げた。

 このうち「安心・安全な高度情報社会の実現」では、課題・領域別にソリューション・サービスを提供し、サービスビジネスの拡大と推進を図る。「プロフェッショナル人財の活躍」では、次世代を担うIT人財として、セキュリティ人財、クラウド人財、DX人材、次世代ICT人財を育成。また、ダイバーシティ&インクルージョンを推進していく。「脱炭素社会への貢献」では、ビジネスを通じた温室効果ガス排出量削減、および自社の事業プロセスにおける排出量削減に取り組む。「持続可能な成長を実現するガバナンス体制の維持強化」では、企業文化醸成と内部統制の強化を図り、健康経営の実現を目指していく。

マテリアリティの詳細

 「これらのマテリアリティについては、今年4月に設置したサステナビリティ委員会が活動状況と結果をモニタリングし、経営委員会に報告する。また、マテリアリティの進捗については半年ごとに外部への開示も行っていく」(辻氏)としている。