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富士通Japan、大中規模病院向けクラウド型電子カルテサービス「HOPE LifeMark-HX Cloud」を提供

 富士通Japan株式会社は1日、電子カルテシステムと医事会計システムをクラウド化した、500床規模の大中規模病院向けクラウド型電子カルテサービス「Fujitsu ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-HX Cloud(以下、HOPE LifeMark-HX Cloud)」を提供開始した。

 富士通Japanでは、自然災害の激甚化などにより、医療機関においても業務継続や診療データ保全の対応などの観点から、クラウドサービスへのニーズが高まっていると説明。また、長引く新型コロナウイルス感染症の流行が、多くの医療機関で経営環境の変化や診療業務における負担の増加、SEが訪問できない環境下でのシステム保守など、病院運営に多大な影響を及ぼしており、システム導入や更新に必要となるコストの平準化や運用コストの削減、環境の変化や新しい法制度へのスピーディーな対応が、病院で利用するシステムに求められているという。

 こうした課題に対して、富士通Japanではこれまで提供してきた中小規模病院や診療所向けクラウド型電子カルテサービスに加え、大中規模病院においても利用可能なサービスとしてHOPE LifeMark-HX Cloudを提供する。

「HOPE LifeMark-HX Cloud」のサービス提供イメージ

 HOPE LifeMark-HX Cloudは、クラウド化によりWebAPIが利用しやすくなるほか、医療情報交換のために厚生労働省電子的診療情報交換推進事業において策定された規約の「SS-MIX2」や、次世代医療情報標準規格の「HL7 FHIR」にも対応し、医療情報連携の強化と診療データの一層の利活用を促進する。

 システムは、一般財団法人日本品質保証機構が定める「データセンター安全対策適合証明」を取得した富士通株式会社のデータセンターで運用することで、安心・安全なクラウド型電子カルテサービスとして提供する。また、データセンター内においてハードウェアの二重化やフェールオーバー機能などのほか、災害時の回線不通対策として複数キャリアを用いた回線の二重化や、電子カルテデータを参照できる専用サーバーを院内に配置することで、業務継続性を強化した。

 電子カルテや医事会計サーバーをクラウド化することで、同ソリューションのオンプレミス型と比較して50%程度サーバー数を削減でき、サーバーの購入や設置に関わる初期投資だけでなく、定期保守やハード故障時の保守といったサーバー管理費、電気代、サーバールームの空調維持費など稼働後の運用まで、トータルでシステムコストを削減できる。

 また、富士通Japanがこれまでの稼働実績により培ったシステムの導入手法、電子カルテシステムの各種設定に関わるマスタ、医師や看護師の入力を支援するテンプレートをはじめとするコンテンツ群を活用することで、システム導入時の準備作業を軽減し、プロジェクト開始からシステム稼働までの期間を短縮する。

 さらに、システム運用においては、診療支援に役立つ便利な機能の追加など定期的なアップデート情報の適用および診療報酬改定への対応を実施し、顧客環境の資源最新化を一元管理することで、いち早く新機能を利用できる。

 富士通Japanでは今後、サービスの提供範囲をさらに大規模な病院へと拡大するとともに、WebAPIを活用したさまざまな医療・健康サービスを拡充していくと説明。また、クラウド利用により柔軟なシステムリソース配分が可能になるため、ハードウェアやサービスなど日々の利用実績に応じた従量課金サービスも提供する予定としている。

 さらに、医療従事者の判断をサポートするAIサービスや、患者ごとに最適な治療を提供する個別化医療を支援するサービスなどの展開を図るとともに、電子カルテに蓄積されてきたデータを確実に継承し、データを適正かつ有効に活用できる形態へと進化させることで、社会を支える次世代医療・健康プラットフォームづくりを目指すとしている。

 富士通Japanでは、2027年度末までに200医療機関への導入を目指す。