NEC、日米間で最大の通信容量を実現する太平洋横断光海底ケーブルの供給契約を締結

光海底ケーブルJUNO Cable System ルート図

　日本電気株式会社（以下、NEC）は21日、日本（千葉県、三重県）と米国（カリフォルニア州）を結ぶ光海底ケーブル「JUNO Cable System」のシステム供給契約を締結したと発表した。契約先は、NTTリミテッド・ジャパン株式会社、PC Landing、三井物産株式会社、JA三井リース株式会社の4社が設立したセレンジュノネットワーク株式会社で、JUNO Cable Systemは日米間を結ぶ海底ケーブルとして最大の通信容量となり、総距離は約1万km、2024年末に完成を予定する。

　NECでは、太平洋横断のような長距離光海底ケーブルについては、光信号を増幅する中継器への電力供給の制約から、ケーブル1本に収納できる光ファイバー数はこれまで32心（16ファイバーペア）が最大だったと説明。JUNO Cable Systemでは、今回新たに開発した低消費電力の中継器と、最新のSDM（Space Division Multiplexing、空間分割多重）技術により、太平洋横断ケーブルとしては初めて、最大40心（20ファイバーペア）となり、ケーブルの総通信容量は30Tbpsとなることが期待され、日米間を結ぶ海底ケーブルとして最大の通信容量になるとしている。

　また、日本は米国とアジアの中間に位置し、アジア太平洋地域のデータハブとして重要な役割を担っており、JUNO Cable Systemは日米およびアジア各国における5G普及をはじめとした旺盛な通信需要に対応し、デジタル経済の発展を支えるとしている。

　ケーブルは、日本の離れた2拠点から米国への通信ルートを確保することで、日本近海での自然災害に対して高い耐障害性を備える。さらに、波長選択スイッチ（WSS：Wavelength Selective Switch）機能により、各ルートの通信波長帯域を遠隔から変更することで、ビジネスニーズや通信トラフィック需要の変化にも柔軟に対応する。

　NECは、過去50年以上にわたって海底ケーブルシステム事業を手掛けており、地球7.5周分のべ30万kmを超える敷設実績があり、グローバルに事業を展開している。また、海底ケーブルや海底中継器、陸上に設置する伝送端局装置などの製造、海洋調査とルート設計、据付・敷設工事、訓練から引渡試験まで、全てをシステムインテグレータとして提供している。今回のJUNO Cable Systemでは、海底ケーブルはNEC子会社の株式会社OCCが、海底中継器はNECプラットフォームズ株式会社が製造する。