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PTCジャパン、IoTソリューション「ThingWorx DPM」を国内で販売開始
製造業の大幅な効率化と生産現場の継続的改善を実現
2022年6月15日 06:15
PTCジャパン株式会社は14日、製造業での課題分析や生産状況の改善と効率を大幅に向上させるIoTソリューション「ThingWorx Digital Performance Management」(以下、ThingWorx DPM)の日本市場での販売を、6月より開始すると発表した。同日には、国内での提供開始に向けて新ソリューションの製品概要に関する説明会が行われた。
「ThingWorx DPM」は、製造現場において、生産性を妨げる課題と優先して取り組むべき点をIoTプラットフォーム上で分析し、改善後の結果を企業や工場レベルで明確化するなど、製造業の効率化を大幅に促進することを目指すソリューション。IoTアプリケーションを迅速かつ柔軟に開発・実行するプラットフォーム「ThingWorx」をベースとした完成アプリケーションであり開発期間が不要なため、現場への導入は平均で3か月程度と、短期間で企業の改善活動に取り組むことができる。
PTCジャパン 代表取締役の桑原宏昭氏は、「製造現場のデジタル化やスマートファクトリーに注目が集まるなか、企業では、運用コストの削減や売上成長の支援、設備効率の改善が大きな経営課題となっている。特に、生産設備の稼働効率を表す総合設備効率 (OEE)は、製造業全体で平均40%から60%と低水準にとどまっており、ベストクラスの85%には届いていないのが現状だ。こうした生産状況を改善することで、生産量の増加、生産時間の削減、そして多様な需要への対応が可能になる。そこで今回、製造業での効率を大幅に向上させる初のContinuous Improvement(継続的改善)ソリューションとして『ThingWorx DPM』をリリースする」と、日本国内で「ThingWorx DPM」を提供開始する背景を述べた。
「『ThingWorx DPM』を活用することで、製造業における改善すべき点を特定し、その優先順位付けを行い、改善結果を企業・工場レベルで明確化することができる。これにより、経営、工場単位、生産現場の効率化を支援する。経営では、生産パフォーマンスを“時間”を主軸に、統一した指標で拠点間を比較できるようになる。工場単位では、改善目標に対して、最も重要な作業とロス、ボトルネック分析に集中できる。生産現場では、各作業現場において最も影響が大きく、対応を急ぐ問題に焦点を当てて改善に取り組むことが可能になる」(桑原氏)と、導入メリットをアピールした。
「ThingWorx DPM」が提供する主な機能について、PTCジャパン ビジネスデベロップメント ディレクターの諸橋伸彦氏は、「『ThingWorx DPM』は、ThingWorxプラットフォームをベースに、実装済みアプリケーションとして提供することで、スピーディーな導入と展開、効果を実現する。具体的には、『生産ダッシュボード』、『ボトルネック分析』、『パフォーマンス分析』、『アクショントラッカー』、『エンタープライズ・スコアカード』の5つのモジュールを備えている。これらの機能により、生産現場のパフォーマンス追跡からボトルネックの選別・特定、優先付け、分析、改善、確認までを、クローズドループで行うことができる」と説明した。
「生産ダッシュボード」は、シフトごとの性能(パフォーマンス)を追跡管理し、レポートや分析に必要なデータを自動収集または手動入力させる機能。直感的で使いやすいインターフェイスで、管理者や作業員が工程やシフトごとに可視化された生産進捗とOEEや生産状況を把握することができる。
「ボトルネック分析」は、工場内における最も影響の高いボトルネック工程を自動的に特定し、管理分析する機能。スループットの妨げの要因となる工程やラインを選定して、知恵・手間ひまを集中投資することで、効率的に改善を行うことができる。
「パフォーマンス分析」は、ボトルネックごとに損失時間の内訳を分析し、組織的かつ継続的な取り組みを促す機能。生じている無駄や改善後に見込める効率効果を「時間」で提示することで、最も影響を与えている損失時間の特定と優先順位付けがよりスピーディーに行える。
「アクショントラッカー」は、取り組みの効果を可視化して透明性を確保し、継続的な改善活動に結びつける機能。生産ロスの改善に直結する取り組みを継続的に追跡し、工程や作業ごとの性能改善を単位時間ごとに分析する。また、チームで取り組むためのデジタル・ワークスペースを提供する。
「エンタープライズ・スコアカード」は、OEEなどの工場KPIを横串で全社的に積み上げ、本部機能、工場長、現場監督など役職ごとのニーズに応じて表示する機能。工場のパフォーマンスをリアルタイムに計測でき、本部側から現場までの状況の可視化と説明責任の明確化を図ることができる。
なお、「ThingWorx DPM」は、オンプレミス環境だけでなく、PTCクラウド(SaaS)環境やプライベートクラウド環境でも提供可能となっており、利用者のニーズに柔軟に対応する。