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IT人材の学びへの意識は向上、転職志向も増加傾向~IPA「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書(2021年度)」
2022年4月15日 08:00
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は14日、IT人材の学び直しおよび流動の実態や、企業の変革および組織・人材マネジメントなどの実態把握を目的とした「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)」の報告書を公開した。
IPAでは、企業のDXへの取り組み状況や対応する人材の課題、IT人材の学び直しや転職に関する意識の実態把握を目的として、2018年度に「DX推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」を公開し、以降もIT人材の変革に関する調査を毎年実施している。
今回、調査の経年変化を追うとともに、IT人材の学びや学び直しの促進と適切な流動化に向けた具体施策を検討するための項目を追加し、「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)」を実施した。
調査によると、先端領域のIT従事者は転職を志向する割合が増え、事業会社ではIT人材不足感が若干低下しているという。また、IT人材個人におけるスキル習得の必要性に対する認識は上がっているものの、新たなスキルを獲得しても非先端領域のIT人材はメリットを感じにくいことが分かったとしている。さらに、企業において先端領域のスキルを生かす場はあるものの、本人の意向を尊重した自己申告制度を持つ企業は多くなく、企業の事業戦略と個人のキャリア戦略のマッチングが課題であることが示唆されたとしている。
転職については、「より良い条件の仕事を求めて積極的に行いたい」と回答した割合が、先端領域のIT人材では30.3%で、昨年度調査(15.4%)からほぼ倍増した。事業戦略上必要なIT人材の「量」は、事業会社において「大幅に不足している」「やや不足している」割合が73.5%で、昨年度(88.2%)より低下したもの、依然として不足感は高い状況だとしている。
新しいスキル習得の必要性については、「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した割合は79.0%で、昨年度(69.2%)から約10ポイント増加した。一方、直近1年においてスキルの向上や新たなスキルを獲得した人のうち、非先端領域のIT人材の23.6%がメリットを感じていないと回答している。
先端領域のスキルを生かす場については、5割程度の企業が「かなりある」「多くはないがある」と回答したものの、本人の意向を尊重した自己申告制度(配置・職種転換)を持つ企業の割合は23%で、「キャリアサポートを行っていない」割合が36.7%となった。IPAでは、企業においては、自社の事業戦略と個人のキャリア戦略のマッチングをいかに整合させるかが課題であることが示唆されたとしている。
調査ではこのほかに、適職度とエンゲージメント、ミドルマネジメントの役割など新たな視点での調査項目や、IT人材を先端領域への転換実績や志向の有無で5つの「転換タイプ」に分類して行った詳細な分析などの考察を行っている。
IPAでは、調査の結果から、IT人材の学びや学び直しが進み、自身のスキルや志向性がマッチする場へ流動して活躍する「適材化・適所化」に向けた施策の検討を進めていくと説明。また、調査報告書が多くの企業・組織に参照されることで、IT業界のみならず産業界全体の活性化や各種政策立案に貢献することを期待するとしている。