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日本オラクル、企業のアフターサービス部門におけるDX支援の取り組みについて説明
Oracle Service Logistics Cloudによって実現される6つの利用法
2022年2月9日 06:00
日本オラクル株式会社は8日、企業のアフターサービス部門におけるDX支援の取り組みについて説明した。
日本オラクルでは、広告やマーケティング、セールス、コマース、サービスなどを包括した「Oracle Advertising and Customer Experience(CX)」を提供。顧客接点におけるDXを支援している。
今回の説明のなかでは、アフターサービス変革ソリューションフレームワークとして「Oracle Service Logistics Cloud」を提供し、さまざまな製品を組み合わせることで、「サービスリクエストとケース管理」、「契約・保証・サブスクリプション管理」、「フィールドサービス計画と実行管理」、「サービス在庫・物流管理」、「デジタルプロモーションおよび注文管理」、「請求および入金管理」の6つのコアコンポーネントを実現していることを示した。
日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 CXクラウド事業本部の桑野祐一郎氏は、「先進企業では、データとプロセスを統合管理することで、顧客のライフタイムバリューを2.5倍にも高めている。それを実現するには、顧客を知り、データを統合し、顧客意図を理解し、適切なサービスを適切なタイミングで提供する必要がある。これを実現するのが、アフターサービス変革ソリューションフレームワークである。これによって、アフターサービス領域におけるDXを実現することができる」と述べた。
また、日本オラクル 理事 クラウド・アプリケーション事業統括 CXソリューション・エンジニアリング事業本部の竹内尚志氏は、「アフターサービス部門におけるDXの実現には、人とプロセス、データが連携し、さまざまな機能がクロスしながら動く必要がある。それを実現した統合クラウドアプリケーションプラットフォームがOracle Service Logistics Cloudだ。また、アプリケーションが統合的につながっているという特徴だけでなく、統一されたプラットフォームの上で利用でき、データやAI、機械学習、IoTサービスなどのモデルをPaaSとして提供し、これらが、第2世代のOCIの上で動作していることが重要なポイントである」などとした。
6つのコアコンポーネントの詳細
Oracle Service Logistics Cloudを構成する6つのコアコンポーネントについては、以下のように説明した。
「サービスリクエストとケース管理」は、故障や使用上のトラブルが発生した際に、問い合わせを受け付けるコンタクトセンターなどにおいて、故障箇所の特定支援や、フィールドサービスの手配、パーツの在庫管理および発送を行うほか、契約内容の確認を行える。ナレッジマネジメントを活用し、問診形式による課題箇所の特定支援を行ったり、IoTセンサーを活用した故障特定も行ったりできるという。
ここでは、Oracle Service、Oracle Intelligent Advisor、Oracle IoT Cloud Serviceなどが活用される。
「契約・保証・サブスクリプション管理」は、さまざまな契約管理内容を網羅するもので、サブスクリプションにおけるキャンペーン利用や、期間限定の特別割引といった複雑な契約形態にも対応。AIや機械学習を活用して、更新のタイミングでは適切なサービスメニューを自動的に提案するといったことも行う。ここでは、Oracle Subscription Managementを活用することになる。
「フィールドサービス計画と実行管理」では、要員管理や最適な修理要員のアサイン、現地に移動するまでの手配や、効率的な移動支援などを行うことになる。ここでは、Oracle Field Serviceを活用する。
「サービス在庫・物流管理」では、パーツの在庫管理に加えて、フィールドサービスを行う現地への部品配送手配なども行える。エンジニアの管理と連動させ、効率的な管理や配送を行うことができる。Oracle Supply Chain Managementを活用する。
「デジタルプロモーションおよび注文管理」では、サービスを収益化するための仕掛けや、プロモーション展開、新たなサービスの提供などを行える。顧客データを中心に、マーケティングやセールス部門との連動により、適切なオファーを提案。アフターサービスの収益化を高められるという。Oracle Marketing、Oracle Commerce、Oracle Sales、Oracle CPQ、Oracle Content Managementなどを利用する。
「請求および入金管理」では、パーツの費用やエンジニアの作業に伴う費用の請求を行える。保証期間内であればサービスを無償で行うことや、修理費用が必要なものはパーツ代金を別途請求するといった管理も可能だ。ここでは、Oracle Cloud ERPを利用する。
「アフターサービス変革ソリューションフレームワークは、これらの機能がシームレスに流れる構造ではなく、顧客を中心にさまざまなパスが行われ、それぞれが連動して動くことに着目して、定義している。また、最適化すべき最も重要な領域を特定し、新たな機能を段階的に導入していくアプローチにすることで、顧客の投資の維持や、相互運用性の維持を実現している」(日本オラクルの竹内氏)とした。
具体的な事例についても説明した。
カナダの土壌掘削企業であるBadger Daylightingでは、事業を倍増させる中期経営計画の達成に向けて、業務プロセスの改善を実行。営業、サービスなどのフロント業務、請求や入金などのバックオフィス領域の業務改善に加え、サプライチェーン領域で洞察を行い、見える化するためにOracle Service Logistics Cloudを導入したという。
「SAPやSFDCも検討にあがったが、最終的にはOracleを採用した。これらの領域のソリューションを統合的に、ひとつのベンダーで提供できるのがOracleであり、データをもとに洞察を行う際にも、シングルデータソースで利用でき、シームレスに、リアルタイムにつながっていることが評価された」(日本オラクルの竹内氏)という。
アフターサービスのDXが重要に
また日本オラクルの桑野氏は、「今後は、サービス提供が新たな収益源として確立されていく必要がある。これによって、企業の成長やマージン、収益性、顧客価値への新たな道を開くことができる。ビジネスにおいて生き残ること、競合他社と差別化を図るためには、サービス領域でどんな顧客体験を提供するかを考えていく必要がある。能動型や予防型のサービスから、成果ベースのサービスへと移行するなかで、この流れを日本オラクルがサポートしていくことができる」と述べた。
さらに、「日本オラクルのCXの重点戦略として掲げているのが、データドリブン経営や、新たな収益の柱を創出することの支援である。アフターサービスにおけるDXは、これらに深く関わるテーマである」としながら、「リカーリングやサブスクリプションビジネスの拡大、新型コロナウイルスがもたらしたビジネス環境の変化に加え、顧客の購買意識や行動の変化が生まれており、それぞれの顧客にあわせたアフターサービスが求められている。顧客の意図をくみ取り、適切なサービスレベルを提供する『パーソナライゼーション』、顧客によるセルフサービスを推進するとともに、エンジニアのリモート支援を行う仕組みを提供といった『サービスの多様化』、サブスクリプション化やプレディクティブサービスの提供など、継続的なサービスを提供する『as a serviceモデル』の3点が重要になる」と指摘する。
調査によると、市場投入戦略の変革を行った企業は96%に達しているほか、すべての顧客とのやり取りのうち、サポートによってもたらされるやり取りは85%に達しているという。また、より良いサービスに対して、好んでより多くの費用を支払う顧客は86%に達しているとのこと。
「顧客体験は大きく変化し、ビジネス上の購入意思決定も変わってきた。今後は、Experience Economy(経験経済)が重要になり、CXに対する期待値やポストセールスに対する期待も高まっている」と話した。