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ラクス、弁護士ドットコム、ビズリーチの3社、ペーパーレス化で業務効率改善訴えるプロジェクト発足
2022年1月28日 06:15
株式会社ラクス、株式会社ビズリーチ、弁護士ドットコム株式会社の3社は27日、ペーパーレス化を通じ、企業の生産性向上、柔軟な働き方の実現を目指すプロジェクト「紙に縛られない働き方プロジェクト」を開始した。
ラクスの取締役 クラウド事業本部長 本松慎一郎氏は、「当社は20年にわたり、ITサービスによる業務効率化実現を目指してきたが、20年経っても効率化が進まない。要因は個々にいろいろとあるものの、紙を使った業務が大きな効率阻害要因となっている」と指摘。企業にアンケート調査を行ったところ、紙の書類に費やす時間が10時間以上の企業が32%という結果だったことから、「このプロジェクトによって、この割合を20%にまで削減する」という目標を掲げた。
具体的には、(1)紙に縛られない働き方実現に取り組む企業を募集し、サービス無償提供などを通じて支援、(2)紙に縛られない働き方取り組み事例の発信、(3)紙書類と働き方に関する調査実施による課題の顕在化と発信――の3点を実施し、ペーパーレス化を実施する企業増加を進めていく。
紙の書類が業務効率化だけでなく、柔軟な働き方の実現も阻害している
ラクスの本松氏は今回のプロジェクト発足の背景として、「新型コロナウイルスによって、多くの企業がテレワークを実施することとなった。が、紙の書類による業務がテレワークの支障となることが顕在化した」と述べ、紙の書類が業務効率化だけでなく、柔軟な働き方の実現も阻害すると指摘した。
2021年9月、ラクスでは、企業を対象に業務のデジタル化に関するアンケートを実施した。「あなたの部署では、業務のデジタル化が進んでいると思いますか」という質問に対し、69.1%が「進んでいないと思う」と回答。さらに、従業員規模数で分析すると、従業員数が1000人から1999人の企業に所属する人で、進んでいないと思うと答えた人が52.6%だったのに対し、従業員数100人から299人の企業に所属する人は72.1%となった。「企業規模により、デジタル化進展に差異があった」(本松氏)。
このアンケートでは、部署によって紙の書類処理に関する時間に違いがあることも明らかになった。「紙書類に関するタスクの処理のために、1カ月あたり合計で要する時間」についてたずねたところ、「月10時間以上」と答えた人が全体では32.0%だったのに対し、営業・営業企画部門では24.0%、総務/人事/経理などバックオフィス部門では37.7%と、部署によって差異があることも明らかになった。
紙書類があることで働く場所が縛られることも顕著で、テレワークを実施している企業に所属している人でも、「紙書類が原因で出社した経験あり」と答えた人が84.5%となった。紙の処理のために通常のテレワークから、出社へと切り替えなければならない人が多く、紙が柔軟な働き方を妨げている。
「政府ではデジタル庁の設立やペーパーレス化、脱ハンコを推進するなど、デジタル化を推進する気運は高まっている。デジタル化を実施する入り口にペーパーレス化があり、日本企業が本格的に生産性をあげていくためには不可欠だと考える。しかし、当社1社がペーパーレス化を推進するだけではできることには限界がある。同じ志持つ企業との連携により、誰も取り残さないペーパーレス化実現を進めることとなった」(本松氏)。
今回、ラクスに賛同した企業として、人材活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズなどを提供するビズリーチ、電子契約サービス「クラウドサイン」などを提供する弁護士ドットコムが、プロジェクトを推進する3社として名を連ねている。さらに、30社を超す企業が賛同企業として名を連ねている。
プロジェクトを進めるにあたり、「定量目標を作り、取り組んでいく。32.0%の企業が、月10時間以上を、紙を使った業務に費やしていることから、これを20%以下まで削減していくことを目標とする」(本松氏)と数値目標を掲げた。
今回のプロジェクトを推進する3社は、ペーパーレスと業務効率化を実現するサービスを提供しているが、それ以外の業務についてもペーパーレス化、業務効率向上を進めていく。
ビズリーチの取締役 HRMOS事業 事業部長である古野了大氏は今回のプロジェクトについて、「当社では人事採用・管理・評価といった人事業務のデジタル化を目指すプラットフォームHRMOSを提供しているが、多くのユーザーの手元に紙の業務が多数残っている。紙を使うことが一切よくないとは言わないが、探す、集める、転記するといった作業は、デジタルではすぐできるのに対し、紙では時間、手間がかかる。こうした作業の手間をなくすことで、人事本来の業務に注力していくことができるのではないか」とペーパーレスで業務効率化が進むと指摘する。
弁護士ドットコムの取締役 クラウドサイン事業部長である橘大地氏は、「クラウドサインも事業開始から紆余(うよ)曲折あったが、最近ではトヨタ自動車、三井住友銀行など大手のお客さまへの導入も実現するようになった。その一方で、中小企業ユーザーのデジタル化が遅れ、取り残されている実態がある。この実態を変えていくことこそ、私たちの仕事だと思っている」と中小企業ユーザーのデジタル化に強い意欲を見せた。
発表会にはゲストスピーカーとして中小企業庁 経営支援部経営支援課 課長補佐の小池明氏が登壇し、「今回、営業活動のゲストとして参加か?と最初は警戒したものの、営業活動としてではなく、デジタル化が遅れている中小企業を取り残さず支援したいということで、喜んで参加させてもらった。われわれも中小企業がペーパーレス化、デジタル化することは非常に重要なことだと考える」とプロジェクトを賛同した。