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コロナの影響を考慮した国内IT市場予測アップデート、2021年の市場規模は前年比4.2%増の19兆234億円~IDC Japan調査
2022年1月11日 06:00
IDC Japan株式会社は7日、2021年9月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮した、国内IT市場予測のアップデートを発表した。国内のIT市場は、2021年5月の前回発行レポートから、2020年は0.7ポイント改善して前年比1.5%減の18兆2518億円の実績、2021年は1.5ポイント改善となり前年比4.2%増の19兆234億円と予測している。
IDC Japanでは、COVID-19は飲食/宿泊/運輸などのサービス業を中心に国内経済へ深刻な影響を与えているが、サプライチェーンの混乱が収まり、製造業を中心とする国内の主要産業は回復しつつあると分析。また、テレワークや各種サービスのオンライン化による非接触の定着により、通信分野がIT支出を牽引しているという。一方、感染の再拡大の兆候も見られており、有効なワクチンの国民に対する広い投与や治療薬の開発が進むまでは、予断を許さない状況が続くとみられるとしている。
製品別では、国内通信事業者の携帯電話通信料金値下げによるスマートフォンの買い替え需要、通信インフラの増強、オンプレミス環境で運用してきた従来のITインフラの刷新を含む、クラウド環境への移行、サブスクリプションビジネスの広がりによるソフトウェアおよびサービスの成長によってIT市場が回復していると分析している。
産業分野別では、COVID-19の影響による移動抑制が継続する運輸分野を除く、すべての産業分野でプラス成長に回復すると予測している。また、携帯電話料金値下げに起因するスマートフォンの買い替えによる消費者、GIGAスクール構想2年目に入り、ICT活用に向けたインフラやソフトウェアの整備が進む教育、各種ソリューションの基盤となるテクノロジーを提供する情報サービスが、2021年のIT市場成長を牽引するとしている。
従業員規模別では、COVID-19は多くの企業規模に影響を及ぼしているが、大企業、中堅企業といった経営体力のある企業では、ITによる事業拡大に向けた取り組みを継続していることから、プラス成長を予測している。一方で、経営体力に乏しい小規模企業以下の企業では、業績の低迷が長期化し、事業継続が難しい状況に追い込まれる企業も増えており、小規模企業以下の規模のIT支出は、ほぼ横ばいから、わずかに減少すると予測している。
年商規模別では、COVID-19の影響は年商規模を問わず多くの企業に及んでいるが、業務効率化や非対面チャネル強化を推進するIT支出は継続していると分析。年商規模300億円以上の企業では、2021年のIT支出は堅調な拡大をしている一方で、経営体力に乏しい年商規模100億円未満の企業では、業績回復は遅れており、マイナス成長が継続すると予測している。
これらの予測は、COVID-19のワクチンの接種が進んでいることから、2021年に経済成長率は2.3%のプラス成長に転じ、海外経済の復調と政府の景気刺激策によって下支えされるものの、回復ペースが緩やかなため、経済活動がCOVID-19の感染拡大以前の水準に回復するのは2023年以降になることを前提としている。
また、2020年~2025年の年間平均成長率は3.2%、2025年の国内IT市場規模は21兆3539億円と予測しているが、COVID-19の感染拡大や抑制に関する見通しは不透明な部分が多く、今後の状況によっては予測を大きく見直す可能性があるとしている。
2022年は、実店舗での購買行動やオフィスワークといった、リアル空間での消費や体験を行う機会が徐々に回復していくとみられるが、この2年間で多数体験した在宅勤務やテレワークなど非接触型のバーチャル空間での行動機会がもたらした利点を生かすため、XR(Cross Reality)のようなデジタル技術を活用した、リアルとバーチャルを融合させたハイブリッドな行動にシフトしていくと考えられると予測している。
IDC Japan ITスペンディングのシニアマーケットアナリストである阿部勢氏は、ITサプライヤーに対して「自社ビジネスにおけるさまざまなデジタルテクノロジーを活用し、ハイブリッドな行動の検証を行い、そのノウハウをサービスとして顧客に提案することで自社の成長とともに社会全体の成長につなげていくことが重要である」と述べている。