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OKI、製造現場向け「外観異常判定システム」をGoogle CloudのAI技術で強化

エッジ端末が異常を自律的に検査、負荷の少ない運用が可能に

 沖電気工業株式会社(以下、OKI)は15日、映像AIで製造現場の検査工程を省力化・自動化する「外観異常判定システム」に、Google Cloudが提供している品質管理ソリューション「Visual Inspection AI」を組み合わせ、AIによる学習モデルの自動生成機能、および生成されたモデルによる自律型検査機能(以下、自動判定モデル作成機能)を追加したと発表した。2022年3月の提供開始を予定する。

 OKIの「外観異常判定システム」は、カメラで撮影した検査対象の部品・製品の高精細映像を、AIエッジコンピューター「AE2100」で映像解析することにより、リアルタイムで製品の外観異常を判定するソリューション。OKI本庄工場で実施した実証実験では、組立工程において作業ミスの見逃しをなくしたほか、製造工程全体の作業時間も15%削減されたという。

 しかし、キズやへこみなど変動する不良の程度に対応するためには、専門のAI技術者による各種パラメーターの組み合わせ、モデルチューニングなど、生成した学習モデルの精度向上のための作業を定期的に行う必要があったとのこと。

 そこでOKIでは今回、従来の画像解析エンジンに加えて、Google Cloudの「Visual Inspection AI」と「AutoML」による機械学習を活用した自動判定モデル作成機能を追加した。同機能によって学習モデル設計を自動化することで、運用者にAIの専門知識がなくても、学習モデルを生成可能になる。

 なお、生成した学習モデルはエッジ端末である「AE2100」に実装されるため、製造現場で自律的に外観検査を行って、作業者に対し結果を即座に通知可能。さらに、運用中に未知の異常が検出された場合は、運用者が当該画像をユーザー画面に取り込み、各画像の不良箇所にマーキングをしてラベル付けを行うだけで、自動的に学習モデルを生成できるので、AI技術者がいない現場でも、常に高い判別精度を実現するとしている。

強化された外観異常判定システムの概要図

 なお、今回の機能強化は、OKI AIエッジパートナーとして協業しているグーグル・クラウド・ジャパン合同会社との、共創事例第一弾になるとのこと。またOKIでは、強化された「外観異常判定システム」を、2022年5月にスマート工場として稼働開始する予定の、本庄地区の新工場にも導入する計画だ。