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日本製鉄とNSSOL、国内最大出力のローカル5G無線局免許を取得、製造現場のDX推進に向け室蘭製鉄所で検証を実施

 日本製鉄株式会社と日鉄ソリューションズ株式会社(以下、NSSOL)は1日、日本製鉄が総務省からローカル5G(4.8GHz帯)の免許を取得し、日本製鉄室蘭製鉄所において、製鉄製造現場におけるローカル5Gの適用検証を共同で2022年1月に開始すると発表した。

 同免許は、屋外での本格的なローカル5G利用を目指した、4.8GHz帯を用いるSA(スタンドアローン)構成で、ローカル5Gの制度上の上限である63Wの出力を可能とする。これは、2021年10月26日時点で公開されているローカル5G無線局の中で国内最大出力となり、大出力の無線局を東西3km、南北2kmを超える広大な製鉄所構内に対して適用することで、効率的なエリア構築を目指すとしている。

ローカル5Gの電波照射範囲(無線局免許申請時の調整対象区域)

 日本製鉄とNSSOLでは、2020年8月に自営等BWA免許を受けて以来、日本製鉄室蘭製鉄所において各種の適用検証を実施し、製鉄所構内の電波伝搬、通信速度、応答性などの特性把握を行ってきた。

 自営等BWAにおける帯域幅の上限から、4Kカメラの映像伝送や遅延時間に制約があるものの、地上の基準局からの情報などによりGPS測位よりも高精度な測位を可能とするRTK(Real Time Kinematic)を用いた、高精度測位によるディーゼル機関車の車両表示位置の精度向上や、NSSOLの現場作業員向けIoXソリューション「安全見守りくん」が自営無線網で問題なく稼働することを確認した。

 両社では、2020年末に、ローカル5GのSUB6帯(4.6-4.9GHz)の利用が可能となる法律が整備され、今回、NSSOLが国内販売代理店であるノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社にて無線機器の開発が完了したことから、自営無線網の第二段階として、ローカル5Gを用いる適用検証に着手するとしている。

 ローカル5Gの適用においては、自営等BWAで発生した各種の制約が、高速・大容量、低遅延、多数端末接続といった5Gの特長をもとにどのように解消されるのかを確認するとともに、これらの特長を生かして、遠隔運転に向けた伝送技術の確立、工場のデジタルツイン化、スマートファクトリー化の推進とともに、製造現場における5Gネットワークによるデジタルトランスフォーメーション(DX)実現を目指すと説明。また、室蘭製鉄所で得られた成果に基づき、他製鉄所への横展開、日本製鉄グループ各社の製造現場への展開も検討していく。