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横河電機とNTT Com、生産制御/製造実行システムのクラウドサービス化と「共同利用型OTクラウドサービス」開発で提携

 横河電機株式会社とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は19日、横河電機が強みとするOT(Operational Technology)領域と、NTT Comが強みとするIT領域の知見を融合させ、製造業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「共同利用型OTクラウドサービス」の共同開発および提供に関する業務提携を締結したと発表した。

 提携にもとづき両社は、生産制御システム・製造実行システムのクラウドサービス化と、その発展型となる「共同利用型OTクラウドサービス」の提供を目指す。

 横河電機とNTT Comでは、製造設備やそれを制御するシステムは、操業を止めないことを最優先に、可用性や堅牢性を重視してオンプレミスの環境に構築されており、即時的なシステム変更などの対応が困難な状態だと説明。一方で、資源価格の高騰や需給の変動、高い品質要求への対応を重視した製造だけでなく、脱炭素社会に貢献する製品の製造など、多様化する事業環境の変化にいかに即応できるかが課題となっているという。

 こうした課題に対し、両社は提携により、IT領域で主流となっているクラウド化の考えをOT領域に応用し、サービスの提供を通して、ものづくりの柔軟性向上やデータ利活用を促進する製造業のDXを支援する。

 これまでも横河電機においては、クラウド上でプラントの設備データを分析し、保守運用の効率化を図るサービス「Yokogawa Cloud」などを提供している。提携では、特定のOT領域のシステムを、企業のデータ利活用に必要な機能やセキュリティ環境などをワンストップで提供する、NTT Comの「Smart Data Platform」上に構築し、システムの更改や機能拡充、制御内容の変更などに柔軟に対応することを可能とする。

 さらに、生産制御システム、製造実行システムのクラウドサービスに、OT-ITオーケストレーション機能を加えることで、各利用企業の生産制御システム・製造実行システム間の連携を実現する「共同利用型OTクラウドサービス」の開発および提供に取り組む。迅速なシステム更改や機能拡充をオンデマンドに実現するだけでなく、利用者間のデータを相互に活用し、製造業界におけるサプライチェーン全体の最適化を実現する。

 例えば、社会の脱炭素要求の高まりに対して、事業者自らの二酸化炭素(CO2)排出だけでなく、サプライチェーン全体から発生するCO2排出量を抑える製法を特定できるようにするなど、データ分析を軸とした最適化を実現する。

 横河電機は、OT領域における制御や製造管理に関する知見を活用し、共同利用型OTクラウドサービスを提供するためのシステム開発を担当。NTT Comは、IT領域におけるセキュリティやクラウドに関する知見を活用し、共同利用型OTクラウドサービスを提供するためのプラットフォーム開発を担当する。

 両社は提携に基づき、生産制御システム、製造実行システムのクラウドサービス化に関する実証実験を2022年2月に開始し、2022年度中のサービス開始を目指す。その発展型の共同利用型OTクラウドサービスについては、2022年度中に共同実験に着手し、2024年度中のサービス提供を目指す。

「共同利用型OTクラウドサービス」の概念図