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国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場、2020年は新型コロナの影響で8%減も、クラウド事業者向けはプラス成長

 IDC Japan株式会社は11日、国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場予測を発表した。2020年の国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場全体は、前年比成長率マイナス8.0%と大きく落ち込み、購入者別では、企業によるデータセンター向けイーサネットスイッチの購入額が大きく低下した。一方で、クラウド事業者向けは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で経済活動が停滞したにもかかわらず、プラス成長を維持した。

 2020年の国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場については、COVID-19の感染拡大が、企業ITシステムのクラウドシフトとオンプレミスITシステムに対する投資の優先度低下といった傾向をいっそう強め、市場にも影響を与えたと分析している。

 2021年以降については、企業ITのクラウドシフトや、動画をはじめとするインターネット上のサービスの利用拡大が、データセンターインフラストラクチャの拡張につながり、イーサネットスイッチの需要を牽引すると予測。市場全体は2025年までプラス成長を続け、2020年~2025年の年間平均成長率を3.8%と予測している。今後の市場を牽引するクラウド事業者向け市場において、2020年~2025年の年間平均成長率は10.5%と高い成長を続け、市場規模は442億2400万円に達すると見込んでいる。

 また、IDC Japanでは、データセンターを中心に導入が広がりつつある、ハードウェアとソフトウェアを分離したホワイトボックススイッチ市場についても予測している。国内ホワイトボックススイッチ市場は、2018年から二桁パーセントで成長を続けているが、成長の余地は多く残されていると分析。メガクラウド事業者のデータセンターへの投資拡大と、ホワイトボックススイッチの採用比率の高まりから、クラウド事業者によるホワイトボックススイッチへの支出は増加を続け、国内ホワイトボックススイッチ市場の2020年~2025年の年間平均成長率は28.2%と高い成長を予測している。

 今後については、オンプレミスのデータセンター基盤としてのイーサネットスイッチの需要は、減少が続くものの、データセキュリティや信頼性の観点から、オンプレミスの企業ITシステムを利用し続ける企業は相応に残り、2025年時点でも市場全体の27.4%を占めると予測している。

 IDC Japan コミュニケーションズのグループマネージャーである草野賢一氏は、「企業をターゲットにするデータセンター向けイーサネットスイッチベンダーは、IPファブリックの導入などモダナイゼーションを促進するために、モダンなデータセンターネットワークが持つ運用管理の効率化や省人化のメリットを訴求すべきである。ネットワークやアプリケーションの可視化/自動化ソリューションとIPファブリックを活用して、データセンターの運用管理を自動化し、専門性をできるだけ排除したデータセンターネットワークを企業に提案していくべきである」と述べている。

国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場 支出額予測、2019年~2025年(出典:IDC Japan)