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キヤノンITS、外観検査・非破壊検査を省力化するAI検査プラットフォーム「Visual Insight Station」

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は9日、外観検査、非破壊検査に特化したAI検査プラットフォーム「Visual Insight Station」を提供開始すると発表した。製造工場、設備点検、物流倉庫などにおいて、検査の省力化を実現するという。ライセンス価格は300万円(税別)から。

 「Visual Insight Station」は、高解像度カメラで撮像した物体表面の微小な欠陥を検出する外観検査や、CT装置で撮像した物体内部の微小な欠陥を検出する非破壊検査を、AIを用いて自動化するソリューション。カメラや照明などの撮像機器を組み合わせ、AI検査システムのコアとして活用することにより、利用企業の運用にマッチしたAI検査システムを柔軟に構築できるという。

 具体的には、20Mの高解像度な産業用カメラ、ネットワークカメラで撮像した画像も縮小せずにAIを実行できるため、画像内の微小な欠陥を見逃さずに検出可能な点が特徴。CT装置で物体内部を撮像した3D画像についても、情報を落とさずにAIを実行でき、スライス画像内に撮像された微小な欠陥も見逃さずに検出できる。さらに、スライス画像を3次元に再構成し、3D画像によって欠陥の位置や領域を可視化することも可能とした。

 またAIモデルは、画像検査に要求される精度、速度のバランスを重視したDetection(位置検出)、Segmentation(領域抽出)、Classification(分類)の3種類を利用可能。システム導入後に利用企業自身でAIの追加学習やメンテナンス作業を行えるため、検査対象の追加や検査環境の変化にも対応できるとのこと。こうした特徴により、AIの認識率を高いレベルで保ち、製造業における検査精度向上と生産性向上の課題解決を実現する。

 なお、ソリューションは3つのソフトウェアから構成され、これらをベースとして、各企業の運用にあったシステムを構築することになる。

 1つ目の「AI学習アプリケーション」は、利用企業の認識対象物に特化したAIモデルを学習できるソフトウェアで、簡単な画面操作にてAIモデルを学習し、性能評価を行えるという。前述のように、AIモデルは利用企業自身で追加学習できるため、継続的な改善が可能だ。

 2つ目の「AI検査アプリケーション」は、認識対象物に最適なAIモデルとパラメータを選定できるソフトウェア。AI学習アプリケーションで生成したAIモデルをロードし、複数枚の画像に対して画面上で推論結果を解析する機能を提供する。

 最後の「AI推論エンジン」は、各企業の検査システムにおいて、エンジンとして利用できるソフトウェア。AI学習アプリケーションで生成したAIモデルをロードし、入力された画像に対してAI推論を実行する機能を提供する。また、GPUを最大限に活用した高速なAI推論を実現しているので、検査システムに要求されるタクトタイムの短縮に寄与するとしている。

Visual Insight Station 基本構成図
活用例