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NEC、枚方市のスマート街路灯を活用したフードロス削減の実証実験

売れ残りによる廃棄数が最大9割程度削減できるケースを確認

 日本電気株式会社(以下、NEC)は17日、大阪府枚方市に設置したスマート街路灯を活用し、フードロス削減に向けた実証実験を実施したと発表した。この取り組みは、2021年3月に枚方市と締結した「スマート街路灯の実証実験に関する協定」に基づき行われたという。

 今回の実証実験は、スマート街路灯に搭載されたネットワークカメラから得られる人流データを活用し、近隣にある小売店舗の来客数、販売数の予測に基づいたフードロス削減を図るためのもの。実証実験は、ニッペパーク岡東中央(枚方市岡東町)の近くでパンの製造・販売を行う九十九堂本舗(枚方市大垣内町)にて実施された。

スマート街路灯

 従来、店舗では、製造責任者がこれまでの傾向や在庫数、天気に基づいてパンの製造数を決定していたが、実証実験ではスマート街路灯のカメラから取得した人流データ、および過去の客数・販売数、天気情報、カレンダー情報をもとに、NECがAIを活用して需要予測を行っている。

 具体的には、スマート街路灯搭載のカメラで撮影した映像をNECソリューションイノベータの画像による人物像分析システム「FieldAnalyst」で解析し、日常の通行者の人数・属性(性別・年代)分析を行ったとのことで、3月18日~5月10日の各種データをAIで学習・分析し、そのデータに基づいて5月11日~20日の来客数と販売数を予測している。

 その結果、今回実証を行った過去データに対するシミュレーション(予測結果をもとにパンの納品数を調整すると仮定)結果ではあるものの、該当期間では、売れ残りによる廃棄数を、従来の実績から最大9割程度削減できるケースがあることが確認できたという。

 なお今回の取り組みでは、カメラで撮影した映像から通行人の移動方向、属性、人数の推定データを映像解析により取得しているが、取得する映像データは、リアルタイムで自動解析後、即時に削除されるため、個人を特定するデータは一切保存されないとのこと。

 NECは今後も、人流データの活用について仮説検証を行いながら、具体的なサービスの実現を目指す考え。また、街のリアルデータを公共・産業分野に活用する取り組みを広げ、安全・安心で持続的な街づくりに貢献するとアピールしている。