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富士通、ハンズフリーで日本語と11言語間のAI音声翻訳が可能なソリューション「TRISY」

医療、観光などの現場で活用を見込む

 富士通株式会社は13日、ハンズフリーで日本語と11言語間のAI音声翻訳を可能にする新ソリューション「FUJITSU 多言語音声翻訳ソリューション TRISY(トライジー) powered by Zinrai」(以下、TRISY)を発表した。外国人とのコミュニケーションが不可欠で、かつ音声翻訳時の端末操作が困難な医療、観光といった分野の現場向けに提供する。

 「TRISY」は、富士通が独自開発したハンズフリー技術を搭載するAI音声翻訳ソリューション。端末を操作せずに、タブレット端末に接続された指向性マイクによって音声認識した話者の音声や位置情報をもとに、適切な言語を認識して音声翻訳する仕組みを実現しているという。また、翻訳開始や終了などの操作も自動で行ってくれる。

 さらに、医療現場のような、周囲の雑音が定常的に発生する状況でも高精度に音声を認識するため、雑音を抑制する独自技術を搭載するほか、株式会社みらい翻訳の音声翻訳APIサービスにより、高い翻訳精度で日本語と11言語間を相互に翻訳可能にしているとのこと。

 従来の翻訳サービスとは異なり、利用者が端末を操作する必要がないため、例えば、医師や看護師などの医療従事者が、さまざまな医療機器や書類を手に持ちながら外国人患者への症状などを説明しやすくなる点がメリット。加えて、外国人旅行者が多い観光施設などにおいても、PCの操作や荷物の携行をしながらスムーズに観光名所の案内、宿泊施設の予約対応などが可能になるとした。

 なお、サービスで利用している翻訳エンジンを活用し、2019年10月から2019年12月まで、沖縄県内の医療機関6施設と共同で、機械翻訳による医療現場での実用性に関する実証実験を行ったところ、英語だけでなく中国語に関しても、医療現場での有用性を検証できたとのこと。また、この翻訳エンジンは、総務省の研究開発において、医療現場以外でも観光施設の窓口などのさまざまな外国人対応の場面で実証が行われ、実用性が確認されているとしている。

 「TRISY」の価格は、タブレット端末(iPad)+指向性マイク(Shure)+通信SIM+多言語音声翻訳アプリを含め、月額1万6500円(税込)。富士通では、2025年度末までに3000セットの販売を目標としている。

 対応言語は、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語、インドネシア語、タイ語、ベトナム語、ミャンマー語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語。

「TRISY」の利用イメージ