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エクスポリス、東京電機大学、日本IBM、マクニカの4者、地方自治体向けDX基盤のサービスを提供

 エクスポリス合同会社、東京電機大学(以下、TDU)知的情報空間研究室、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)の3者は29日、共同で実証実験を進めてきた、地域内でデータの流通を促進する「データ流通プラットフォーム」と、流通データを元に開発されたソリューションを広く自治体に共有・販売する「マーケットプレイス」を、エクスポリスからサービス提供を開始すると発表した。4月から「Anastasia」としてサービス利用自治体の募集を開始し、8月にベータサービスの提供を無償で開始する。

 また、Anastasiaを活用した地域社会における課題解決の促進を目的として、新たに株式会社マクニカが参加。TDU、エクスポリス、日本IBM、マクニカは、マクニカの自動運転ソリューションでセンシング技術・AIを活用してデジタル変革を支援する「Macnica Mobility Data Platform(以下、MMDP)」と、Anastasiaとのデータ連携および自治体へのソリューション導入に向け、共同検討を4月から開始する。これにより、地域住民の交通手段として、公共交通機関網の補完およびCO2排出量に関する地域課題を持つ自治体向けソリューションとして、Anastasia活用の価値向上を目指す。

 エクスポリスは、2020年4月~9月に長野県小谷村で実施した実証実験結果や、他自治体へのヒアリング結果を踏まえ、少ない人数で自治体運営を行う全国の1724基礎自治体を対象に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するプラットフォームとして、Anastasiaを希望自治体へ無償提供する。

 自治体において地方人口ビジョンや施策を検討する上で、都市部では充足しているソリューションや企業の情報が、経済合理性などの理由から地方自治体に行き渡っていない、地方自治体間での共有環境がなく他自治体におけるベストプラクティスを把握できないといった課題があると説明。Anastasiaを活用することで、地域課題施策の策定から導入までの時間的・人的コストを削減し、基礎自治体が高額な導入コストを負担せず低コストでDXに着手し、持続可能な地域社会の実現の一助となることを目指すとしている。

 また、エクスポリスとTDUは、2021年1月から埼玉県さいたま市横瀬町において、Anastasiaを利用した実証実験を行ってきた。横瀬町の実証実験では、経済産業省と内閣官房が提供するRESASデータを活用した地域分析機能、ソリューションへのフィードバック機能、ユーザーインターフェイスを検証し、横瀬町内および別自治体とのソリューション・課題解決ノウハウの共有手段としてのAnastasiaの有用性を評価する予定。横瀬町の他にも、希望する自治体において実証実験を実施していく。

 Anastasiaでは、農林水産、交通・モビリティ、環境・エネルギー、防災、まちづくりなど、自治体において施策検討される分野に関連するソリューションを掲載。Anastasiaを介して、自治体向けソリューションを提供するプレイヤー(地域公社、民間企業など)と基礎自治体のマッチング、ソリューションの売買、地域公社や民間企業に対する地域データの提供を可能とする。また、自治体は地域課題に対して独自で取り組んだ施策のノウハウの共有あるいは販売、過去採用したソリューションの評価をAnastasia上で行うことができ、同様の地域課題に悩む他自治体との情報共有基盤として活用できる。

 日本IBMは、設備の稼働状況やセンサーデータの遠隔監視を支援する「IBM Maximo Asset Monitor」を利用し、AnastasiaのIT基盤を構築する。将来的には、ソリューションのコンテナ化を検討しており、IT基盤を「IBM Maximo Application Suite」へ拡張する予定。

 マクニカは、これまで都市部から中山間部などさまざまな自治体と、地域課題の解決手段の一つとして、自動運転技術の社会実装検証を目的に共創活動を行ってきた。2021年1月には、これまでの自動運転・走行実験を通じて培ったモビリティ特有のデータ収集技術と、マクニカが展開するDX技術を結合させたMMDPを発表しており、自動運転・走行の社会実装活動に加えて、新たにモビリティを活用したセンシング技術・デジタル技術により、自治体が管理する膨大な道路や橋など、社会インフラ保全のDX化実現を目指す。

 また、今回の提携により、4月からAnastasiaとMMDPのデータ連携による自治体への新たなソリューション導入に向けた共同検討を行い、実証実験を通して得られるソリューションのユースケースや効果に関しては、ほかの自治体への提供も視野に入れた検証を実施するとしている。

 エネルギーマネジメントシステムにおいては、脱炭素社会に向けたクリーンエネルギーの活用と、大幅な消費電力の削減を行うためのシステムを提供する。これらのシステムにより、作る電力、使う電力のクリーン化、使う電力の大幅な減少を行い、循環型経済の構築に貢献する。

 システムとしては再生可能エネルギーの発電、蓄電、大幅な省エネを実現する装置を端末/機器のハードから制御/運用するソフトウェア、保守まで含めた一気通貫のワンストップソリューションで提供。運用例としては、再生可能エネルギーの発電と蓄電、発電量の予測、需要の予測を含めた電力の見える化を行うことでこれらの蓄電した電力を自家消費と合わせて、EVバスの運行や災害時の非常電力として活用したり、日本の電力消費の8割弱を占める照明や冷暖房の消費電力を大幅に削減するために、高効率な器具や制御システムを提供することで、費用対効果の高い省エネ提案を実施する。